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野湯山行・鬼怒川湯沢
N浜

山行日 2021年10月9日~10日
メンバー (L)N浜、佐藤(明)、齋藤(吉)、大瀧

 昨年の安達太良山集中で野湯の魅力を知ってから、私の中の温泉欲が高まり、今年は幾度となく、東北の名湯や野湯に足を運んだ。今回の計画は元々、野湯に詳しい明さんのおすすめスポットを訪れようと6月に計画していたが、雨のため延期になっていたもの。
 三峰では過去に和田さんリーダーの沢企画での実施はあったようだが、今回は陸からのアプローチがメイン。とはいえ、山と高原地図では破線ルートとなっており、若干バリエーション要素もあるので少々心配なところもあるが、せっかくの機会なので、私のリーダーとしての初の例会山行として提出させてもらうことにした。
 当日は飯田橋駅の肉そば屋さん前で集合。前回、6時半オープンにも拘わらずどんどん人が店内に吸い込まれていく様子を見て、次回の朝食は絶対ここで!と決めていた。朝から関東らしい茶色の汁をまとった肉蕎麦を頂き、お腹いっぱいになったところで皆と合流し、奥鬼怒方面へ向かう。
 登山道入口には、3台ほど駐車できるスペースがあり、先客とおぼしき車が一台。あ~、今回のお風呂は貸切じゃないんだなぁ、残念!と思いながら準備していたら、その車の持ち主である地元のきのこ狩りに来ていた方々が、帰宅されるところであった。挨拶がてら温泉に入りに行くという我々の話をすると、不思議そうな顔をしていたが、熊がいるから気をつけてくださいね、という優しい忠告をくださった。
 準備を整えて、今日の宿泊地である広河原温泉へ向かう。序盤、私や大瀧さんがトップを歩いてみたが、何度かルートを間違えた・・・。この道は、元々散策道だったが、台風の影響などでいくつもの場所が崩壊しており、倒木を避けると崖上に登ってしまったりするなど、いくつもルートファインディングに悩む場所があった。その度に、明さんや茂吉さんのルーファイ眼と機敏な動きで助けられた。
渡渉  沢沿いでは途中、ケルンやピンクリボンを目印に歩く。何度か渡渉を繰り返した後、この日の宿泊地である広河原温泉に到着。
 源泉は渾々と湧き出ており、無色。触ると結構熱い。先人が置いていってくれた頑丈なビニールシートやスコップがあったので、それらを有り難く使わせて頂き、湯をためていく。テントを設営して、焚き火の支度ができると、寝室とリビングと露天風呂のある贅沢な家のような佇まいとなった。
 早速、温泉に浸かってみると、少し熱くて、近くの沢からバケツに水を汲んで薄めながら入浴した。明るいうちから野湯に浸かりながら乾杯できるなんて最高!皆、思わず顔がほころんだ。夕食は大瀧さんが作ってくれた美味しいハッシュドビーフを食べ、焚き火を囲んでおしゃべりを楽しんだ。
 翌朝の朝食は、そうめんバイキング。私は温泉卵を作りたくて、一晩、温泉の中で卵を寝かせてみたが温度が足りず生卵のままだった(笑)。朝食後は、荷物をテントに残し、沢装備で湯沢噴泉塔に向かう。所々に、温泉の湧き出る装置があったので、このエリア一帯は、本当に温泉の掘削が盛んなところだったのだと感じた。噴泉塔に向かう最後の核心部分は道の崩壊が激しく、沢ルートから詰めて行くことになった。一箇所、乗り越えるのが難しい大岩があったのだが、私も明さんもロープやスリングをテントに残置してしまうという大失態・・・。結局、茂吉さんが持っていた予備スリングをお借りし、明さんの膝も踏み台代わりにお借りして、ヨイショと大岩を乗り越えた。
大岩を乗り越えると、噴泉塔に到着。ここが今回の目的地。下流の広河原とは違って、熱い白濁とした湯が流れている箇所があるものの、冷たい水も大量に流れており、温泉の適温を確保するのが難しかった。
 渾々と湧き出る貴重な源泉を存分に満喫した後、広河原へ。手作りの浴槽と別れるのが名残おしくて、最後に皆でもう一度入浴してから帰路についた。ご参加いただいた皆さん、ありがとうございました!

湯沢噴泉塔
〈コースタイム〉
【10月9日】 湯沢噴泉塔歩道入り口(12:00) → 広河原温泉(幕)(14:10)
【10月10日】 広河原温泉(07:45) → 湯沢噴泉塔(09:30) → 広河原温泉(10:30) → 湯沢噴泉塔歩道入り口(12:30)

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