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山スキー・月山肘折ルート
永岡 恵二

山行日 2022年4月9日
メンバー (L)永岡、荻原、斎藤(吉)、清水

 2019年、シールを忘れ、断念した肘折ルートを3年越しに企画した。
 メンバーは3年前と同じ荻ちゃん、もきちさんと紅一点のミーコさんのいつものメンバー。

 6時前に仮眠場所の道の駅にしかわを出発し、コンビニで朝食をして7時前にゲートに到着。ゲート前には既に多くの車が停まっていた。何台かはゲートに車を置いて、ツボ足で歩きだしている人もいた。7時にゲートが開いて、駐車場へ。準備をして、直ぐに出発。スキーだけでなく、ツボ足の人も多くいた。
 月山のリフトは明日から営業開始のため、リフト奥のコースを登ってリフト下り場経由で山頂を目指した。前日雪が降ったのか黄砂などの影響もなく雪面は真っ白。雲一つない真っ青な空と真っ白な大雪原のコントラストが美しい。1,729mの尾根に取り付くと、鳥海山が眼前に現れた。今年のGWはあそこを滑ると思うと、胸が躍る。ここから上は斜度が上がり、風も強くアイスバーンとなっているため、クトーを付けて頂上を目指した。
 頂上付近は暴風でまともに立っていられない。小屋の陰で風をよけて、板と荷物をデポして、山頂で記念撮影。
 早々に準備をして、風のない少し下まで滑り降りた。風が強い場所はカリカリのアイスバーンだったが、少し滑り降りると、風は収まり、快適な雪面となった。今シーズンまだ誰も滑っていない大雪面に自分たちだけのシュプールが描かれる。最高の気分だ!一気に1,500mまで滑り降りた。

暴風の山頂大雪面滑降

 1,500mで斜度がきつくなるので、手前で斜面をのぞき込むと、ところどころにシュルンドが見えた。慎重に横滑りも入れて滑り降りると、先ほどまでの雪質と違い、一気に重くなり、メンバーから苦悶の叫びが・・・。ここから先はザラメのストップ雪に悩まされる。1,150m位から立谷沢出合までの斜面は急で、シュルンドだらけとなった。荻ちゃんが沢の上部で隣の尾根へ横に滑ると、雪崩が発生。皆尾根上にいたので問題はなかった。3人がいる尾根の下部はシュルンドだらけで、とても下りられそうにないため、雪崩がおきた沢を横切って、荻ちゃんがいる尾根へ順番に移動。狭い尾根だが、なんとか、立谷沢出合まで下りることが出来た。振り返ってみると、このシュルンドだらけの斜面を登り返しなしでよく下りられたものだと、驚く。ここで、一本取っていると、後ろから3人パーティー2組が下りてきたので、自分たちは念仏ヶ原へ。
 念仏ヶ原は広大で、ここでテントを張って、夜空を見ながら泊まるのもいいなぁなどと話しながら、景色を楽しみながら先に進んだ。念仏ヶ原の終わり付近に小屋があるはずだが見当たらない。GPS上この辺というところで、もきちさんが割れた雪面の中に小屋の屋根を発見。すっかり雪に埋まっていたのだ。後ろのパーティーは小屋に泊まると言っていたが、どうするのだろうか?
念仏ヶ原  念仏ヶ原を抜けると、小岳までは緩やかな斜面だが、長い。快晴の青空と月山、念仏ヶ原の大雪面を眺めながらのんびり小岳に向かった。小岳に到着すると、15時前。小岳から少し滑り、細い沢からシールを付けて、また25mほど登って、赤沢川の二股まで滑降。雪が沢底で割れているかもしれないと、右岸の片斜面を滑り降りた。赤沢川の二股から978mの小ピークまで登り、登山道の尾根までトラバース気味に滑降し、尾根に出て急斜面を滑り降りるとなだらかになった。尾根沿いに大森山の登り口まで行こうとしたが、雪がなく、尾根の左側をシールで歩くことにした。

小岳からの月山大森山山頂

 大森山の登り口は雪がなかったので、ザックに板を付けてとりつくと、反対側は雪面だったため、登りやすい雪面から山頂を目指した。山頂につくと17時30分。山頂から宿に一報入れて、最後の滑降準備。山頂から一気に登山道まで滑り降りたいところだが、少し複雑で、100m位尾根を滑り降り、左の尾根の方へトラバースし、尾根の右側を滑り、途中から下に下り、林道に出る。ここで迷うと日が暮れるのは必至のため、GPSを見ながら慎重に滑り、無事に林道に到着。ここからは立っていれば終点まで行けると思っていたが、微妙に登りで雪もグズグズなため、滑って行けない。ヘロヘロになりながら、九十九折りの上部までくると、やっと斜度がついて、滑り降りることが出来た。林道終点に到着すると宿の人が車で迎えに来てくれていた。ミーコさんが到着すると、すっかり暗くなっていたが、なんとかギリギリヘッデン下山は免れた。
 振り返ると、今回のルートには一切トレースなどなく、まっさらな雪原だったことから、恐らく今シーズン初めて肘折を滑り降りたのは我々だったのだろう。慎重に地図を見ながら、大きなトラブルもなく無事に滑り降りられたのは、感無量だ。
 肘折温泉の宿は玉乃屋さん。事前にお願いしていた地酒と宿の美味しい山菜やキノコ料理で打ち上げ。最高の締めくくりとなった。

おまけ
後続のパーティーは1時間半かけて念仏ヶ原の小屋を掘り出して泊ったそうだ・・・

〈コースタイム〉
月山駐車場(7:30) → リフト上部(8:35) → 月山山頂(10:40) → 1,500m(11:10) → 930m(11:45~12:15) → 念仏ヶ原(12:35) → 念仏小屋付近(13:20) → 小岳(14:50) → 赤沢川(15:05) → 大森山登り口(17:00) → 大森山山頂(17:30) → 林道終点(18:30)


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