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アイスクライミング・尾白川下流域
木村 咲稀

山行日 2022年2月5日~6日
メンバー (L)小芝(泰)、石毛、青木、木村

 今回の山行は私のアイスクライミングデビューであり、以下の記録(感想)はアイスクライミング初体験者の文章であることを前書きしておきます。「雪稜に行きたいのでアイスクライミングも練習したいです!」と頓珍漢なことを言い出した私にアイスクライミングのいろはを教えていただきました先輩方ありがとうございました。

【2月5日】
 道の駅に前泊し、翌日矢立石登山口近くに駐車。7:30頃から歩き出す。この日は暖かく、アプローチ前半は雪も殆どなかった為、氷は溶けているのではないか不安になってくる。東屋のある錦滝出合いに着くと迫力のある氷瀑が覗いた。美しいけど・・・登れる気が全くしない。私たちが向かうのは奥の傾斜の緩いアイス(F2)なので、東屋付近に幕を張り、準備をする。
幕場とした東屋前  氷瀑(錦滝)を前に幕をはるなんて素敵なロケーション! F2は初心者向けということで、確かに傾斜が緩い、気がしていた。実際に登ってみると見た目ほど緩く感じない。アイゼンを氷に刺した状態で立ち上がらなければならない恐怖に勝てず、後から撮ってもらった写真を見てみると何ともへっぴり腰。なるほどこれは確かにうまく立てない訳だ。この日、気温が高かった為か氷の裏では水が流れている(午後には一部溶けて流れ出していた)。氷は案外厚みがあるから大丈夫というリーダーだったが、なかなか思い切りアックスを振れず、氷を細かく叩き砕いている始末だった。
 そんなこんなでF2をトップまで登ってみるもいまいち感覚が掴めずにいたところ、リーダーがF2下に4m程度の手頃な滝(?)を発見。トップロープを張ってもらい、リーダー指導のもと練習をする。短いが、F2は人も多く、あまり時間を掛けるのも気が引ける為、初心者がアイスの感覚を掴むための練習としては良い場所だった。しかし、無駄な力がたくさん掛かっていたのであろう。私は4本程度トップロープで登ってだいぶ力尽きていた。こんな状態でも、幕場まで5分程度で戻れるため、ヨレヨレになるまでアイスを楽しめる。
 この日の食当は私で、いつもの鍋。スープや他の具材が見えなくなる程肉を詰めるという男料理※だったが皆さんこれはこれで良いと食べてくれたのでありがたい。
 ※三峰の男性陣は料理上手な方が多いので「男料理」という表現は失礼かも・・・。

リードする石毛さん 【2月6日】
 この日は平田(ベータ)ルンゼか岩間(ガンマ)ルンゼを登る予定であったが、前日平田を登った人曰く、凍結状況が微妙ということで岩間ルンゼに向かう。今日も暖かい。昨日より氷の裏から水の流れる音がよく聞こえてくる。岩間ルンゼF1は昨日のガンガノ沢F2より短いが、傾斜が立っている(と私が感じていただけかもしれない)。その分、恐怖感も増すところだが、石毛さんは「これならリードできるかな」と果敢にリードをしているし、青木さんは「リードはちょっとなあ」と言いつつも安定した登りである。一方私は今日も氷を叩き割る。

 よく見るとスタンスも多いので慣れてくれば休みながら登れるのかもしれない。だが、そんなにうまいことは行かず、なかなか休めずテンションを掛ける。一人3~4本登ったところで気温が高く、氷の状態も悪くなってきた為、早めに昼頃撤収。登った本数は少ないが、皆さんのアックスやアイゼンを試しに使わせていただき、道具によって登り易さが大分異なることを体感できたりと、個人的には収穫の多い山行だった。

 先輩方のお陰で未知の世界だったアイスクライミングの世界を楽しめた。なんといっても氷瀑は綺麗である。問題は私が寒さにめっぽう弱いことだ。正月山行(光岳)時の冷えに怯んでいたが、そんなことも杞憂に終わり、ポカポカの陽気で2日間楽しんでしまった。登攀の技術も勿論必要だが、寒さを克服できるよう訓練していきたい(訓練してどうにかなるのかは分からない)。


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