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沢登り・恋ノ岐川
永岡 恵二

山行日 2022年9月3日~5日
メンバー (L)永岡、野畑、清水、小芝(麻)

 恋ノ岐川は2015年に遡行したことがあるので、企画する気はなかったが、何かの飲み会で三峰びじょに囲まれて、「KGさ~ん、連れてって~🤍」と言われ、思わず首を縦に振ってしまったそうだ。
 この週は全国的に台風の影響で不安定な天候で、局所的に大雨が降っており、奥只見湖周辺の降雨状況が常に気になっていた。水曜日位から仕事の合間に雨雲レーダーでチェックしていたが、意外と奥只見湖周辺は降っていなかったため、予定通り決行した。

三峰びじょ3人 【9月3日】
 今回のコースは前回同様、恋ノ岐橋から通常通り遡行し、源頭部付近で左の尾根に上がり、鷹ノ巣登山口に下山するルート。入渓地点と下山口が離れているため、車1台を下山口にデポし、7時半に恋ノ岐橋から入渓。全く増水している気配はなかった。今回の恋ノ岐遡行はおじさんに優しいびじょ3人とのハーレム遡行だ。まさに恋が生まれそうな予感がする(笑)。難しいところはなく、まさにデート沢だ。ところどころに小さな小滝や淵があるが、シャワークライムしたり泳いだりするようなところはなく、水流の脇を登ったり、へつったりで行ける。先頭を歩く自分の後ろから、びじょ3人が「キャッ!」「きゃー」「ぎゃー」と黄色い声から黄土色の歓声が響いてくる。我々レベルでは楽しいイベントが続いた。
強引に水流に突っ込むミーコ  清水沢を越えるとびじょの一人が希望していたナメ床となり、気分も盛り上がってくる。ウォータースライダーで遊ぶには、少し涼しく、誰も水の中に入ろうとしない。三角沢近くになると、やっとイワナが走り出した。三角沢の先にビバーク地があるので、竿を出し、とりあえず今晩のつまみ用に2匹釣り上げた。竿をもって遡行を続けるが、一向にビバーク地が見つからず、時間も遅くなりつつあるので竿をしまって幕場探しに集中することにした。結局1時間ほど進んだ左岸に整地すれば泊まれそうなスペースを見つけ、そこで泊まることにした。整地しようとすると、バタコが整地は女性陣がやるので、釣りに行って来て🤍と優しく言ってくれた。お言葉に甘えさせていただき、小さいのを2匹釣って、計4匹。サイズにばらつきがあるので、一人1匹では不公平になると思い、全てなめろうにして、頂いた。

【9月4日】
 翌朝、7時出発。今日は登山道まで上がる予定だ。昨日よりイベントが多く、メインイベントの大滝もあり、あまりのんびりはできない。とはいっても、平均50オーバーの我々は急げと言われても絶対スピードが遅い。さらに時間が経過すれば、疲労も出てきて、更に遅くなる。ケガだけはしたくないと、オーバーペースにならないように、ペース配分を考えて、遡行する。しかし、へつり好きの「へつりのミーコ」、高巻き好きの「高巻きのバタコ」が楽しそうにしているのを見ると、つい時間を忘れてしまう。まきちゃんは無難についてくるが、久々の泊まりの沢ということで、疲労の色が出てきている。ペースはドンドン落ちてきており、余裕がなくなりつつあり、午後を過ぎると、お助け紐を出すような滝登りはほぼマグロ釣り状態。ボディにお助け紐をつけて、そのまま釣り上げる。登ろうとしているびじょは足も手も使えず釣り上げられるのに驚き、「キャー!」「待って待って~」「〇×△」「あ~ん🤍」と普段出さない声におじさんも他のびじょも大興奮。

果敢に泳いで取り付くマキへつるバタコ

暗闇の大滝  大滝に到着したのは17時を過ぎていた。スラブ滝で難しくはなかったが、薄暗くなってきているので、安全を取ってロープを出すことにした。3ピッチで登り切った時には既に真っ暗で20時30分を過ぎていた。ここでビバークにすればよかったが、めぼしい場所はなかった。沢から藪漕ぎは短ければ30m位なので、GPSで確認して、藪を漕いで尾根に上がることにした。とりつき場所が見つからず、少し上ると緩やかになりそうなところから強引に取りついた。緩やかな場所まで到着したら、いきなりヘッデンが切れて、真っ暗になってしまった。予備のヘッデンは先ほどヘッデンの調子が悪いマキちゃんに渡してしまって手元にはないので、ロープを使って女性陣に上がってきてもらうように声をかけたが、一向に上がってこない。声をかけると「登れない~」とのこと。ここは戻るしかないと、真っ暗な藪を引いてきたロープ伝いに下りた。気が付くと時計も無くなっていた。結局3人が横になれる位のスペースを作って、一杯やってビバークした。

【9月5日】
 翌朝は前日に残置したロープを回収し、一つ滝を降りたところに、とりつき場所があったので、そこから藪を抜けて1,831m地点の登山道に出た。8時半だった。平ヶ岳に行ったことがないので行ってみたいと言っていたミーコさんが自ら行きたくないと言ってくれたので、皆安心して、下山に入った。天候は素晴らしく、暑さでばて気味。結局登山口についたのは15時過ぎ。なかなか厳しい下山だった。

お疲れのびじょ3人
〈コースタイム〉
【9月3日】 恋ノ岐橋(7:30) → 清水沢出合(10:40) → ビバーク地(16:20)
【9月4日】 ビバーク地(7:00) → 大滝(17:20) → ビバーク地(23:00)
【9月5日】 ビバーク地(8:00) → 1831m登山道(8:30) → 登山口(15:00)

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