山行日 2022年7月2日~3日
メンバー (L)古屋、千葉(快)、高橋(史)
今シーズンに出す沢の例会を探していて、目にとまった美しい沢の風景、ゴルジュにスラブ、場所は会越、まさに沢シーズンのこの時期にぴったりだ。今年は残雪が多く気がかりはあったが、それはそれで楽しめると思い、行ってみることにした。
【7月2日】
今年は梅雨明けが例年より一月も早く、今週末の天気はもちろん快晴!初日は行動時間が長く、暑さもあってへばる不安があったので、出発は睡眠時間を考えて遅めとなった。
入渓点は駐車場から林道を進み、そのまま斜面を降りていくと釣り師のものと思われる踏み跡に合流、すぐに大久蔵沢出合付近に降りられた。
始めは平凡な河原歩きだが、駒倉沢を過ぎた辺りから淵が出てくるので泳ぎが必要になる。水は予想通りそれほど冷たくなく、流れも緩いので快適だ。ゴルジュらしい自然の造形美にテンションも上がってくる。大きな釜を持つ5m滝は泳いで渡り、ロープを出して右壁を登る、落ち口に残置支点あり。滝上はそのまま淵になっているので泳いで進むと、また沢歩きと泳ぎの繰り返しだ。トポにある30m垂壁を持つ淵の巻き箇所も、水が冷たくないので泳いで越える。
なかなか駒形沢に着かないなーと思ったら、早く幕場に着きたくて気が焦っていたのか、だいぶ出合を通りすぎてしまっていた。40~50分のロス。やってしまった、、、
駒形沢は水量が少なく、沢も小さいので綺麗な初級の沢といった感じだ。1時間くらい進むと視界が開け、前方にこれから登る奥壁が見えてくる。なんだか雪渓も見えるような、、そりゃそうだよねー、なんて話をしていると、すぐにかなりの大きさの雪渓が両岸に現れる。思ったより雪渓が出てくるのが早いな、、なんて考えながら雪渓の近くで涼みながら一本とる。
カーブした先には大きなトンネルを持った雪渓が沢を覆っている。おぉ!スノーブリッジを見るのは久しぶりだ。トンネルの先には明かりも見え、それほど威圧感は感じない。トンネルを潜りたい気持ちを抑えて、右岸から雪渓の上に上がる。200m程で雪渓は終わったが、クレバスを跨ぐときはやはり気持ちが悪い。沢への下降が心配だったが、ブッシュが使えたのでそれほど苦労はしなかった。すぐに大岩のトンネルをくぐると、そこには崩れた雪のブロックが散乱し、庇のように雪渓が頭上を覆っている。あいかわらずトンネルは奥まで続いているが、10m程先の左岸から明かりが射し込んでおり、そこから上に上がれそうだ。一人ずつトンネルをくぐり、ここもブッシュを使って雪渓上に上がる。トンネルからの脱出みたいでちょっと楽しい。メンバーも笑顔で楽しんでいるようだ。ここからまた10分程雪渓上を歩いて沢に降り、すぐに左側に巨石が積み重なった特徴的なスラブ滝を越え、また雪渓に上がり、ほどなくしてやっと桃尻スラブに着く。それにしても、雪渓上は快適に歩けるが、天気が良いので太陽の照り返しでかなり暑かったのは誤算だった。水を補給し木陰で一本とる。
桃尻スラブは、それほど傾斜もなく、フリクションも効くのでジムに行っているような人なら問題ないだろう。スラブ自体はすぐに終わってしまうが、上から見下ろすとまるで滑り台のような桃尻スラブの不思議な造形は、一見の価値ありかも知れない。それにしてもここからの景色は素晴らしい!まるで作り物のような鮮やかな緑色をした木々と、澄んだ青空、雪渓、スラブとのコントラストが見事だ。そのまま登っていくが、丁度上方に見える飛び出た大岩の方に詰めてしまうと、ロープを出したりと苦労するようなので、適当なところで左にトラバースする。あとは階段状の草付きと小沢を詰めれば、ほぼ藪漕ぎなしで狙い通り稜線鞍部に出た。
こんな場所なのでもちろん踏み跡はないが、稜線にはコシアブラの木が群生していた。ついこの間まで山菜を取っていた我々は興奮しつつ一本とる。
適当にコンパスを合わせ藪の中を西ノ沢の方向に下っていくと、すぐに沢地形となり雪渓も出てくる。以後何度も滝が出てくるが、大体は灌木やブッシュを使って降りられる。懸垂下降をしたのは幕場までに2回。1つ目は50mロープで丁度。2つ目は50mでは足りなかったので、10mロープを連結した。
その後は幕場を探しながら歩くが、適当な場所がなく、Co686付近で良さそうな場所があったので幕場とした。沢から一段高く、平で薪も豊富、藪を念入りに開拓したので快適な幕場となった。星空と焚き火に癒されながら、渓の夜を満喫する。
【7月3日】
今日の行程は短いのでゆっくりと出発した。幕場から1時間ほどで癒し系の様相になる。懸垂は室谷川本流出合の滝のみ。
出合からの渓相は、とにかく素晴らしい!今回の山行のハイライトはもしかしたらここなのかも、と思ったほど美しい景観だった。目の前の見事な本流の滝でしばらく遊んだ後、室谷川のゴルジュの渓谷美に酔いしれながら、のんびりと泳ぎ降る。昨日は気づかなかったが、この沢は、赤や緑、紫色等、カラフルな色をした石が多い。よこちんは子供に持って帰ろうと、小さな石を探しながら歩いていた。駒形沢を過ぎての5m滝は左岸から懸垂で降りた後、釜を泳いで渡る。あとは少しの泳ぎと河原歩きで、無事駐車場へ戻った。
沢もタイミングも当たりだった。天候とメンバーに恵まれ、雪渓もいいアクセントになってくれた。室谷川はとにかく美しく、登攀要素はあまりないが、いろいろな要素が適度にあり、満足できる山行だった。
【7月2日】 | 駐車場(7:40) → 入渓点(7:50) → 駒倉沢出合(8:10) → 駒形沢出合(10:50) → 桃尻スラブ(14:00) → 稜線(15:20) → Co686付近幕場(18:00) |
【7月3日】 | 幕場(6:30) → 室谷川本流出合(8:10) → 駐車場(12:50) |