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沢登り・内ノ倉川七滝沢
高橋 俊介

山行日 2022年9月17日~18日
メンバー (L)高橋(俊)、坂井、石毛

4段までしか見えない。  岳人が好きな沢として選出される飯豊の入門沢。登れる滝は少ないものの七滝の見事な連瀑と魚影も濃く飽きさせない渓相がとても好きで今回例会山行を計画した。車中で検索してもらったら、小生は過去4回も行っていたらしいが、ところどころしか記憶になく、しかも10年以上前の話なので初心に立ち返る感じである。
 金曜日夜、王子駅で集合し一路日本海を目指す。小生は新潟に5年間住んでいたことがあるので新潟の地理はだいたい把握している。福島潟にて仮眠。トイレも非常にきれいであったが、明け方から野鳥観察と釣り師が来始めたので予定より早く撤収、入渓点である内ノ倉ダムへ移動する。ダム湖へ到着するとちょうどいまから沢に入ろうとする二人組パーティーが居り、以後、このパーティーと前後しながらの遡行となる。
 内ノ倉川左岸につけられた林道を小1時間ほど歩くと七滝沢が見えてくる。過去の記録をみるとここでロープを出して渡渉しているケースも見受けられたが、水量も膝下くらいで大したことなく渡渉できた。七滝沢に入るとしばらくはゴーロや小滝が続く。途中、2人組の釣り師に遭遇、一応気を使ってしばらくはなるべく沢から離れたゴーロをつたって遡行する。さらに小1時間歩くと第一連瀑帯が見えてきた。七滝沢全体に言えることだが、登れる滝が少ないので遡行者はみんな巻いており比較的踏み跡はどの滝にもついている。ここも左岸に踏み跡があり、これを忠実に辿っていくと1時間ほどで滝上に出た。その後も大岩の乗越や次々と滝が現れるものの、特にロープを出すこともなく、登ったり巻いたりして行くが、前夜あまり寝ていない身にはしんどいところである。やがて、今度は第二連瀑帯が姿を現す。
 登れそうな滝もいくつかあるものの時間的なこともあり、左岸の踏み跡をたどりすべての滝を巻くが、途中不明瞭になったため、おおよその検討をつけてトラバース気味に藪を漕いでいく。先行パーティーは滝を登ったり巻いたりしていたため、途中で抜かしたのを気が付かなかったが、トラバース最中に合流してきた。台風が接近していることもあるのか、9月にしては非常に気温が高く湿度も高い。汗だくになって、もういい加減いいでしょとの感じになったあたりでちょうどすべて巻き終えられたかなと思い沢筋を覗くと懸垂で降りられそうな様相、懸垂1ピッチで沢床に下りられた。ところが、いくらも行かないうちにまだまだ滝が続く。途中、小滝を小さく巻いたが、足場が悪い。これを越えると深い釜をもった大きな20m滝。遡行図によるとこれを越えるとゴーロ帯になるようだが、この巻きが悪いとのこと。時間は15:30を回っており、この巻きは1時間以上はかかりそうな感じであったため、滝手前の砂地にビバークすることに決定。先行していた2人パーティーもここに幕を張るとのことであったため、整地して一緒に焚火を囲むことにした。2人は山岳会などには所属しておらずInstagramで知り合った個々人とのこと。なんか、すげー、時代を感じてしまった。いつもの如く焚火をして銀マを持ち寄り火を囲み始めたら、いままで沢泊でこんなに大きな焚火をしたことがないと。。。えっ、それじゃ何しに来てんのさ!と三峰メンバーは皆感じたことでしょう。2人は早々にテントに入り、当パーティーはいつもの如く、だらだら飲んでいたものの21:30ごろには明日の出発時間を決めて就寝。
「青春の鐘」を鳴らしながら。  翌日、4:30起床6:00出発。今日のところ天気は持ちそうだが、台風は新潟にまっしぐらに向かってきており、早めに下りようと本日下山を目指して遡行する。撤収早々に20m滝の高巻きを開始、遡行図には滝手前のルンゼから巻くと書いてあるものの、めちゃくちゃ悪そう。一歩手前のリッジから2人パーティーが先行で取り付く。ただ、このリッジラインも悪いのでロープを出してもらいFIXする。小さく巻いて上部で懸垂下降で沢床に到着、この巻きで1時間以上を要してしまっていたので、昨日これを越えてテン場を探してとなると時間的に少々厳しかったかもしれない。ここからは一気に渓相が変わりナメやゴーロがつづき岩魚もよく走る。初日にここまで来れると確かに釣りもテン場も絶好のロケーションかと思われる。その後も泳いで取り付くCS滝があったり、直登できる17m滝があったりで飽きさせない。水線通りに忠実に詰めていくと大した藪漕ぎもなく二王子岳と二本木山とをつなぐ登山道に出た。2人パーティー含めて皆で遡行できた喜びを分かち合う。100mほどで二王子岳山頂なので、避難小屋偵察と山頂を踏む。遡行中もパラパラと台風にかかる雨雲が通り抜けていたが、飯豊本山方面に雨雲が移動しているところに虹がかかって非常にきれい。風は強くなってきているが、視界は良好であり、越後平野や日本海まで見渡せる。
 写真をとって早々に下山開始。途中で回収用のタクシーを予約、コースタイムでは3Hとなっていたが、登山道がめちゃめちゃ整備されており、2時間ちょっとで下山できた。
 もともと3日間の山行で組んでいたので、新潟市内に泊まり新潟の食を堪能。住んでいた時によく行っていた居酒屋で盛大に打ち上げをしたのち、翌朝、帰京した。都内に入るころにはすでに豪雨となっていた。計画段階では3日でゆっくり釣りをしながらと思っていたが、結果、釣りをする時間はほとんどなく2日間で抜けてしまった。市内で打ち上げができたのでこれはこれでよかったかも。

〈コースタイム〉
杉滝岩(7:40) → 七滝沢(8:30) → 20m滝(15:30)
C1(6:10) → 二王子岳(14:30) → 二王子神社(17:30)

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