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岩登り・名張 香落渓の岩場
石毛 恵
木村 咲稀
高橋 史生
西村 宏一

山行日 2022年11月3日~6日
メンバー (L)西村、荻原、石毛、木嶋、高橋(史)、木村

【11月3日】(記録:石毛)
 8時にニコニコレンタカー名古屋駅前店に集合。翌日から合流する西村さんを除く5人が2台の車に分かれて出発、名古屋から2時間程度で香落渓(こおちだに)の駐車場に到着。名張の岩場には色々なローカルルールがあるとの事で我々もそのルールに従う。
 ルール①
 クライマーは駐車場の小屋の下流側に駐車する。
 ルール②
 ドアミラーにスリング等の目印をかける(車の持ち主がクライマーか釣り師か漁協の人が判断する為)
 準備を整えいざ出発。岩場に行くには目の前を流れる青蓮寺川を渡渉する必要があり、各々持参のウェダーを装着し渡渉。流れは穏やかだが、水深は股下程度まであり、私のウェダーは股下までの長さだったので結構ギリギリ、慎重に足場を選び何とか渡りきる。身長160cm以下の方は胸まであるタイプの方が安心かも。
 渡り切ったところでルール③
 ウェダーを脱ぎ河原に置いたら見えるところに目印の黄色い布(タオル等)をかけておく。
 (猟友会の有害鳥獣駆除の際、万が一の誤射を防ぐためにクライマーが居るという目印)
【左:名張入門 右:ミニラ】  初日に行った「屏風岩エリア」へは、河原から10分弱で到着。立派な柱状節理の岩場が迎えてくれる。天気の良い休日なので人が大勢いるかと思っていたらこの日は我々以外に2人組の地元クライマーの方達だけだった。お二人に初めて来た事を伝えると、ルートを丁寧に教えて下さり大変助かった。とりあえず我々が登れるであろうルートcrack Baby(5.7)に向かう。
 荻さんがリードで登った後に私がロープを引きずりながらトップロープで登り、隣の支点にもう一本トップロープをセット、隣り合うcrack Baby、Surf Rider、名張入門、ミニラの4本をそれぞれ登る事にした。
・crack baby(5.7)
 快適なハンドクラック。右壁のクラックも使いダブルクラックで登る。最後の乗越しが若干悪い。
・Surf Rider(5.10c)
 シンクラック。今回私は登っていないが、「コレ指入るの??」という感じのサイズでみんな苦労していました。
・名張入門(5.9)
 入門って名前に騙されちゃいけない。ワイド部分で足を決めるのが難しい。なかなか入門は認めてもらえない。厳しい・・・
・ミニラ(5.10b)
 女性は上部のチムニーに入り込めるので登りやすいと言われるルート。確かにすっぽり入るが、私はサイズがピッタリ過ぎて体が抜けないかもと一瞬焦るがなんとかトップアウト。身体の大きい男性など、中に入り込めないとなかなか苦労する様子。
 初日という事でみんな無理しない程度に楽しんで1日目は終了とした。

クライミングエリアへの渡渉 【11月4日】(記録:木村)
 7:30に西村さんを名張駅でピックアップし、岩場へ。コンビニに立ち寄り8:30頃駐車場へ着くと既にクライマーの車が1台。今日はサニーサイドへ向かいます。トポ上、渡渉は飛石で行けるとのことでしたが、見た感じの水量ではどうも難しそう。胴長を着ていた私は強気にザバザバと渡渉を始めましたが、淵が点在しているので、調子に乗ると胴長でも水没します。
 対岸に着いたら忘れず黄色い布を木に括ってアプローチの道へ。ケルンは特に見当たりませんでしたが、うっすらと踏跡があるのでそれを辿っていきます。屏風岩よりは急登、アプローチ長めで若干道が悪いものの、それでも20分程で到着。サニーサイドという名前からぽかぽかの日向岩場を想像していたのですが、午前中は日陰で気温の低い日はなかなか寒そう。
 昼頃から日当たりも良く、サニーサイドの名に合ったロケーションでクライミングが楽しめました。以下、私が触ったルートたち。
・むらさめ(5.9)
 西村さんがトップロープを張ってくださったので、まずはここから登り始めました。名張の5.9の中ではかなり登りやすいルートのように思います。気持ちの良いハンドサイズのクラックが走っていますが、最後の方が少し悪いかも。
・NEW WAVE(5.9)
 岩場に着いてから最初に目を引いたルート。クラックは積極的にオンサイトでリードをやろうとしない私が「これはやってみたいかも」と思った稀有なルートです。過去の記録にも「ダイナミックな動きができる」と記載があったように、(登る)希望の見える、かつ見栄えの良いルートです。ワイドの中に細いクラックがあるので、スモールカムが結構きまります。私は参考にならないくらいカムを使ったので、カムの番手は割愛・・・(笑)大きなチョックストーンから右手にハンドサイズのクラック、左手に登り辛そうな(でも恐らくこちらが正規)ルート。吸い込まれるようにハンドサイズのクラックを登り始めたのですが、どうも最後乗越す場所に泥が多く不安を感じます。久々にクラックでのオンサイトの難しさを体感しました。落ちる自分が想像できてしまったらもう気持ち的に失敗。心が折れてしまったので下りてしまいました。その後西村さんが登ると、どうやらチョックストーンから左手が正規ルートとのこと。たしかにダイナミックな動き有。ルーファイ含め私はまだまだですが、オンサイトでトライしてみるのも楽しいですね。
・ジュマンジ(5.10a)
 荻さんリード後トップロープで触らせてもらったルート。クラックは女性サイズだとフィストがギリギリ効くといった感じ。荻さん曰く翌日のマシュマロンと似た感じとのことですが、私は断然ジュマンジの方が登りやすく感じました。ハンド、バチ効きでなくとも誤魔化しながら登れます。
 サニーサイドは5.9~5.10台前半の課題も複数あり、個人的には同じ課題を何回かトライしても飽きることなかったので1日十分楽しめました。スキルアップして再来したいと思います。

New waveジュマンジ

【11月5日】(記録:高橋(史))
 本日も宿のおばちゃんの美味しい朝ごはんを食べて出動。梅干しが美味すぎて飯を3杯食べてしまい早速眠気が襲ってくる。
 本日は、初日に偵察がてら登った屏風岩エリアに向かう。荻さんは出発前からのターゲットにしていたマシュマロマン(5.10a)。この二日間で僅かに自信を付けた自分はCrack Baby(5.7)をリードが目標。屏風岩に着くと特等席に荷物を置いてそれぞれの目標ルートを下見し、アップする。初日に名張入門に苦戦して登れていない若手の為に、リーダーがトップロープをかけてくれた。ミニラも登れるし良い位置に終了点が設置されているのはありがたい。
 荻さんのアップが終わりマシュマロマン(5.10a)に取りつく。私がビレイをさせて貰いリーダーに写真をお願いした。やはり人気ルートで順番待ちがある。荻さんは、とても安定したムーブで一撃。うーんカッコイイ。
 マシュマロマンは、綺麗なフィストサイズのクラックが続き(3番4本と4番3本位あと2セット位だったと思う)。右ハングの横を越えるとコナークラックとなり核心は終了する。上部は壁に足を張ることも出来るしフェイスにもホールドが有るようだ。荻さんにロープを張ってもらいトップロープで登るがハング手前の核心はオフウィドゥスまではいかないが凄く微妙な幅で今の自分には全く手に負えなかった。リーダーと咲ちゃんは登れていた。来年は登りたい!練習頑張ろう。
 自分はというとCrack Baby(5.7)をリードし、当初の目標はクリアできた。簡単なハンドクラックで怖さもなく安定して登れたと思う。登っている最中に神戸労山の面々が登場。後で動画を確認したが、思いっきり画面に被っていた。
 この日は、他にミニラ、ブロードバンド、名張入門で、楽しんだ。
 結構クタクタになり、明日は帰るだけと決定し、風呂に向かった。来年はもう少し登れるようになるぞと心に誓った日だった。

マシュマロマン渡渉ポイントもハロウィン

(総括:西)  大堂海岸、三宅島、神須ノ鼻、三倉に続くトラッドツアーはとうとうクラックの聖地とも呼ばれる名張へ。
 ここには「ナバラー」とも呼ばれる異才を放つ他からも憧憬の眼差しで見られる強々クライマーが生息し、他のエリアとは一線を画した言わばロストワールド的なおどろおどろしい所をイメージしていた。しかし行ってみると思っていた以上に普通、むしろ皆さん優しく朗らかで、暖かく我々を出迎えてくれた。(二子弓状やシーサイドの方がよっぽどギスギスしている!)
 ルートは柱状節理に20mから30mを超える美しいクラックが何本も走っている。
 ルートの特徴として足がほぼステミングできないため、常にクラック真っ向勝負。通いなれた瑞牆とはここが大きく違う。またステミングが出来ないと登れない神須ノ鼻とは対象的だ。そして多くのルートがワイド、細くてもフィストの技術を要する。でも慣れると足で立ち込めるため登りやすいとは某有名クライマーの談。その域に達するには相当通わなければならないだろう。
 とにもかくにも皆で楽しく過ごせたのが収穫。素敵な宿も含めて思い出に残る4日間でした。言い出しっぺの荻さん含めお付き合い頂いたメンバーに感謝です。


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