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山スキー・五輪山
荻原 健一

山行日 2023年4月8日~10日
メンバー (L)荻原、永岡、斎藤(吉)、清水、萩原

 例年3月下旬からGWまでの期間限定(夏は通常営業)で営業を行う蓮華温泉をベースにした雪倉岳、朝日岳、五輪山周辺は山スキーヤーにとってはまさにスキー天国の地であり、毎晩の食事と天然温泉を提供してくれる小屋の存在はシニアとなった我々には本当に有難い。昨年、朝日岳のロングツアーに成功した面々はこの勢いのまま今年は雪倉岳の北面ルート滑降を目論むが、寡雪により瀬戸川のスノーブリッジが数日前に崩壊したとのこと、急遽来年の目標としていた五輪山スキーへと計画を変更する。今年と来年の目標ルートを入れ替えただけなのでメンバーのモチベーションに影響はない。あとは天気だが、初日の午後から翌朝にかけて大雪警報、翌日は雪崩警報&昼過ぎまで強風とのこと。一抹の不安を抱えての出発となる。

【4月8日】小雪のち吹雪
 今日は午後から荒れるとのことで8時の始発で栂池スキー場のゴンドラに乗る。ロープウェイに乗り換えて準備してから9時にシール歩行を開始する。ひと登りで天狗原、ここでシールを外して振子沢経由の最短ルートで蓮華温泉に向かうが雪が少なく地形が出ているので、いつもより随分と滑りづらく時間もかかる。天気も予想より早く崩れて10時くらいから雪が強くなり、視界も悪くなってくるが、12時には小屋についてほっと一息。小屋に入れば天国で温泉と宴会を楽しむ。ふと外を見ると猛吹雪に変わっており、改めて小屋の存在を有難く思う。明日に備えて今日は早めに就寝だ。

【4月9日】終日晴れ、昼まで強風
 雪は明け方まで降っていたようで積雪量が気になるが小屋周辺は10-20cm程度といったところで雪崩のリスクは低そうだ。但し風は強く気温も低いので厳冬期並みの格好での出発となる。瀬戸川の橋を渡りヒョウタン池の先を登って行くと雪倉岳北面からの吹きおろしが強く撤退も考えるほどの強風に叩かれる。

小屋から元気に出発瀬戸川橋を渡る

 それでも午後から風がおさまるとの予報を信じて登っていく。五輪山南東尾根上の独標1,983mに西側から回り込むように上がると右手に絶景が広がりモチベーションが一気に上がる。尾根上のルートは細く、ずたずたの雪庇も乗っかっているのでルート取りに苦労する。(雪の状況にもよるがヒョウタン池から白高地沢にかかる橋を渡り、登山道沿いに五輪高原、五輪山からの滑降ルートを登りに使って五輪山へ登頂というルート取りの方が体力的にも楽で時間も短かったと思われる。)
 それでも登り始めてから6時間あまりで五輪山に到着する。山頂は360度の大展望で、来年挑戦する雪倉岳北面ルートも良く見えておじさん・おばさん達の闘志も燃え上がるのでした。

五輪山直下の難所1五輪山直下の難所2五輪山の山頂(雪倉岳北面をバックに)

 山頂でシールを外して、さぁーいよいよ大滑降の始まりです!まずは五輪高原へ向けて昨夜の大雪によるうっかりパウダーのご馳走を頂きます。五輪高原手前で先行するガイドパーティーと同じ左手にルートを取り、その後も素晴らしいルート取りの恩恵に預かり、瀬戸川橋までの標高差1,100mの快適な滑降となる。

山頂から大滑降の始まりです!途中の快適パウダー斜面

 橋からの登りはいつも通りヘロヘロになり、16時過ぎに蓮華温泉に到着する。10時間超のツアーを終えたあとに見る蓮華温泉からの五輪山、朝日岳、雪倉岳の絶景はツアー前よりも何故かより美しくそして愛おしく見えてしまう。目に焼け付けてから小屋に入り、あとは昨日と同じ温泉→宴会コースへと進む。

ツアー後の大宴会

【4月10日】終日快晴無風
 今日は最短ルートの振子沢を登って帰るだけ。昨日の疲れもあり、メンバーの足は重い。でも五輪山からのパウダー大滑降という大きなお土産を持ち帰っての帰路なので気持ちは軽やかだ。天狗原からひと滑りで栂池スキー場のゴンドラン乗り場に到着して今山行も終了となる。

〈コースタイム〉
【4月8日】 栂池スキー場・ロープウェイ(9:00) → 蓮華温泉(12:00)
【4月9日】 蓮華温泉(6:15) → 瀬戸川橋(7:30) → 五輪山(12:40~13:00) → 蓮華温泉(16:15)
【4月10日】 蓮華温泉(7:00) → 栂池スキー場・ゴンドラ(12:00)

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