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山スキー・至仏山
小芝 麻紀子

山行日 2023年4月23日
メンバー (L)小芝(麻)、佐藤(明)

至仏山山頂にて  朝6時。戸倉の駐車場の乗合タクシーは人数が揃うと出発してくれる。登山客はひっきりなしにくるので、すぐに9人乗車客が揃って出発となる。30分ほどで鳩待峠の駐車場につく。鳩待峠の駐車場のトイレも、その上の山荘前のトイレも今年は利用可能だ。去年他のメンバーが来た時には、駐車場のトイレは使用できなかったようなので、残雪の状況次第なのかもしれない。駐車場周辺には雪があまりなかったが、登山口につくと歩くには充分な雪があった。シールをつけて歩き始める。雲一つない晴天で、尾瀬ヶ原の向こうには燧ヶ岳、反対には谷川岳、などなど360度山々が広がり素晴らしい景色だ。予報では風が時折強くなるということだったが、稜線に出ても風は強まることはなかった。本当に気持ちがよい。小至仏を過ぎ、いよいよ至仏山頂上という手前の岩稜帯で雪がなくなる。スキー板を肩に担いで頂上を目指す。5分ほど歩くと山頂に出た。

ザラメで快適な大滑走  山頂で記念撮影を済ませ、一休みした後、お待ちかねの滑走開始だ。山頂の標高2,228mから、南西方面へ2,050mまで滑り降りる。まだ荒らされていない斜面が残っており、上質なザラメで気持ちよく滑り降りる。
 その後再びシールをつけて斜面を登り、小至仏山頂へ。会に提出した登山計画書ではワル沢滑走としていたが、尾瀬保護財団ホームページ上で公開された情報では、例年より雪が少なく、川上川にかかるスノーブリッジはないとのことで、前夜に相談し、我々は小至仏から少し滑走し、その後は登り返して、登ってきた登山道付近から滑走しようと思っていた。このルート取りは、今回一緒に滑っている明さんが以前滑ったものだ。しかし、まわりを滑っているスキーヤーをみると、みんな吸いこまれるようにワル沢方面へ滑走していく。明さんに、「ワル沢を下まで滑ったことあります?」と聞くと、ないとの返事。「当初の計画通りワル沢に行きませんか?明さんも滑ったことないですし、初めてのルートの方が楽しいですよ!あっちに降りているスキーヤーがけっこういるので渡渉も何とかなりますよ(笑)」と提案をしてみると、明さんが「リーダー判断に従うよ!」と言ってくれたので、提出した計画書通り、ワル沢を降りることにした。
 小至仏の頂上を少し滑り降りるとワル沢が見える。降りる方向がはっきりわかるので、一気に大斜面の滑走を堪能できた。恒例の「ヒャッホー、ヒャッホー」、と叫びながら滑り降りる。
スキーブーツを履いての渡渉は大変  尾瀬保護財団の今シーズンの発表では、ワル沢の北側が滑走不可区域になっているので、ワル沢の南側の斜面を滑った。快適な滑走が、気が付けば木が多くなり、雪もザラメからガリガリなアイスバーンに変わり滑りづらい。徐々に斜度がかなり緩くなってきて、雪が少なくなり土が見え始める。ボードを担いで歩いているボーダーと遭遇するような状態だ。腕時計の高度計を見ると1,550mあたり。雪が少なくどこから滑り降りたらいいか迷ってしまう。明さんから「ここにまだ雪が残っているから降りられそうだよ~」とアドバイスされる。横滑りと、薄雪から出た枝に板を絡ませないようにキックターンを駆使しながら降りる。
 雪の少なさに悪戦苦闘しながらも川上川に出ることができた。スノーブリッジが例年あるであろうという場所に出たが、スノーブリッジは跡形もない。改めて渡渉を決意。スノーブリッジがあったであろうあたりが渡渉できそうな雰囲気はあるものの、別の場所も見てみようと、川上川を少し下ってみる。ワル沢の出合いの先に川が浅くなり流れの緩む場所があり、更に反対岸からその先にある登山道への合流は楽そうだ。まずは明さんが渡ってくれた。「このあたりが少し深いから濡れるよー」、とアドバイスをくれる。硬い底のスキーブーツで渡渉するのは初めてなので、フリクションの感覚が良くわからない。おまけに重いスキー板をザックにくくりつけている。滑って転んでも濡れるだけで、危険な場所ではない。加えて、この日は日差しも強く濡れても凍えることはない。が、それでも当然ではあるが転びたくはない。恐る恐る歩き、なんとか川を渡り切ると、ブーツの中の靴下がガッツリと濡れている。気持ちは悪いが、あとは少し歩くだけだ。

 対岸から登山道までは簡単に合流でき、そのままスキーを担いで登山道を歩く。鳩待峠では帰りも登山客は沢山いて、乗合タクシーはすぐに出発し戸倉駐車場に戻った。
 名ばかりリーダーではあったが、明さんにサポートしてもらいながらも、ルーファイの勉強ができました。ありがとうございます!早く一人前のスキーヤーになれるように精進します!(笑)

〈コースタイム〉
鳩待山荘(6:50) → 至仏山山頂(10:20) → 小至仏山山頂(12:00) → 渡渉ポイント(12:45) → 鳩待山荘(13:40))


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