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縦走・世界遺産 吉野・大峯を歩く
鈴木 章子

山行日 2023年4月16日~17日
メンバー (L)鈴木(一)、瓜田、鈴木(章)

 古来より、日本一の桜の名所として知られている吉野山。吉野山とは大峯連山の北の端から南に約8㎞つづく尾根一帯を指し、大峯信仰登山の根拠地でもあり、修験道の霊場とされてきました。今でも『女人禁制』の山も有り、それを守っていこうとする人々がいるのも事実。霊場『吉野・大峯』と『熊野三山』を結ぶ修行の道は『大峯奥駈道』と呼ばれ、超自然的能力を獲得することを目的とした修行が今日でも行われています。
 吉野から熊野に至る大峰主稜には七十五の霊場が有り(俗に大峰七十五靡(なびき))、昔、この靡全てを修行するには75日を要したと言われていました。吉野山は山全体が世界遺産として登録されており、吉野水分神社・金峯山寺・金峯神社・吉水神社などの世界遺産の建造物を徒歩で回れることも魅力の一つです。
 今回、我々三人は、吉野から始まる世界遺産を、奥駈の逆峰の順に、吉野山・金峯山寺・金峯神社・奥駈の入口五番関まで歩いてみました。

これが有名な女人結界門 【4月16日】
 昨年、同時期、私はひとりで、吉野~青根ヶ峰まで歩いたことも有り、桜の開花の量、観光客の数を比べながらの歩きになりました。今年も、上千本・中千本・奥千本と花見見物の人はいるけれど、花の開花が早かったのか、一目千本桜は見られなかった。更に、当日は寒さが重なり、この時期にしては観光客も少ない気がした。
 奥千本を過ぎたのち、金峯神社の右脇道から少し行ったところが登山口になるが、もう少し先まで行って西行庵からの周遊コースを歩いても青根ヶ峰に立つこともできる。我々は前者のコースを選んだ。
 青根ヶ峰までは観光客が展望を楽しみに登って来る人も多い。青根ヶ峰山頂から見渡す山々は、東に大台山系、西に高野山系が高さを競っているのが目に入る。黒々とした森の山々だ。雨上がりでもあり、峰々に掛かる霧が神秘さを増し、巨大な生き物に感じる。どの山々も『我』が強そうで、更に、自分の小ささを実感させられる。それが、この山の魅力かも知れない。
 青根ヶ峰から足を進め四寸岩山で大休憩。単独の男性(外国人)が通り過ぎて行った。彼はきっと山上ヶ岳まで行くのだろうな。リーダーには申し訳ないが、今回は五番関【女人結界】まで、そこから洞川温泉への下山をお願いした。
満開の山桜  辿り着いた宿泊予定の二蔵宿小屋は4月末まで閉鎖。幸い、リーダーがテントを持参してくれたので、ここで水を汲み、大天井ヶ岳を大きくトラバースするコースを歩く。思いの外、長く歩き辛い、一休み・二休みしながら五番関へ、私が最後に辿り着く。瓜田さんが『女人禁制』の看板を感慨深く見ていた。
 結局、此処でのテント泊は、風が強く寒い、15分下れば車道。全員一致で下山。登山口は満開の桜の下に東屋の有る素晴らしい場所だった。桜の花の下にテントを張り、暫く日差しの暖かさを楽しんだ。が、日が陰るとグッと寒くなった。夕食の牛乳鍋を食べ早々に横になった。夜半、テントに当たる雨音で目が覚めた。

【4月17日】
 翌日、それほど急ぐ朝ではないが、洞川温泉発のバス時刻が気になり8時半に出発。途中、母子堂(旧女人結界)近くにある『名水ゴロゴロ水』の水槽の中で、ヒルが3匹ほど底に沈んでいた。水の中では、冷たくても彼らは生きていけるのか?これも再発見?
 バス停までの道のりで出会った単独行の女性、天川から稲村ヶ岳を目指したが雪で、装備が無いので下山したとのこと。道理で昨夜は寒かった。
 1時間20分位でバス停に到着。洞川温泉から見上げる山々は桜の花が満開。洞川温泉の町はまだ完全に明け切れていないように静かだった。
 私はこの地を訪れるのが好きだ。転居して近くなったことは嬉しい。そして、私の転居により、三峰の仲間が東海・関西に目を向けてくれることが多くなった?ことも嬉しい。
 桜の時期だけではなく、アジサイ・紅葉・雪景色など四季折々も楽しんでほしい。

〈コースタイム〉
【4月16日】 近鉄下市口駅 → 吉野(6:40) → 下千本 → 中千本(7:40) → 奥千本 → 金峯神社(9:25~9:35) → 青根ヶ峰(9:50) → 四寸岩山(10:20~11:30) → 足摺茶屋(12:00) → ニ蔵宿小屋(13:05) → 五番関(15:20~15:45) → 登山口(道路)(幕)(16:00)
【4月17日】 幕場(8:30) → 毛又大橋 → 母子堂(ゴロゴロ水) → 洞川温泉バス停(9:40) → 下市口駅

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