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沢登り・北ノ又川本流
荻原 健一

山行日 2023年9月16日~18日
メンバー (L)荻原、永岡、古屋、高橋(史)、川口

 越後三山を代表する大渓谷として知られる只見川水系の北ノ又川本流に行ってきた。この方面の三峰山岳会の記録は乏しく本流遡行の記録となると皆無なので個人山行ではあるが今回記録として残すことにした。
 まずはメンバーだが、この沢は登攀的というよりは泳力が問われる沢でトップが突破してしまえば、あとはどうとでもなるので上級クラスの沢としては大人数の部類に入る5名とした。諸々の事情で多少の入れ替えはあったものの、最終的に頼もしい5人衆が揃ってくれた。日程は2泊3日+予備日1日の計4日間を確保して万全の準備とする。
 遡行の成功はもう貰ったようなものだと高をくくっていたが、いきなり初日から大雨。リーダーをはじめ全く入渓する気力が湧いてこず、初日は現地の温泉で一日まったりと過ごす。まぁーこういうときの為の予備日なのだからこれで良いのだ。

【9月16日】晴れ(夕立あり)
【函淵】水の冷たさに悲鳴を上げながら泳いで突破  2日目からギアを入れ替えて意気揚々と出発する。銀山平温泉の駐車場から少し歩いて坪倉沢に入渓。これを少し下っていよいよ本流の遡行が始まる。しばらくでダムから上がって来たと思われる鮭だか鯉級のぶっとい岩魚に遭遇して盛り上がるが、もちろん見るだけで通り過ぎる。1時間弱の河原歩きを終えると有名な函淵。突破するには30mくらいの泳ぎが必要だが、流れがほぼ無いので泳力はあまり必要ない。ここはロープを出さずに各人に泳いで貰って通過するが、とにかく水が冷たい。シニアが多いので一人ぐらい心臓が止まってしまわないか?と心配したが、泳ぎ終わって人数を数えると5人いたのでまずはひと安心?
 その後も泳ぎやへつりが連続するが、危険個所はほとんどないので楽しい遡行が続く。滝ハナ沢出合、芝沢出合、板倉沢出合と順調に進む。板倉沢出合の少し前に流れの強いゴルジュの突破があり、ここは空身の泳ぎ&ヘツリで突破する。水流が強いので荷上げも大変だが、ここで最若手の横ちんが大活躍!腰痛持ちのリーダーを大いに助けてくれる。

天狗の鼻とにかくどんどん泳ぐ

シッカイ沢出合手前の2条10m滝  板倉沢の先は河原が広がり平和な渓相となり、最後に2条10mの滝を越えるとシッカイ沢出合で本日はここを幕場とする。結構激しい夕立に合うがその後は一転して満天の星空となり、豪勢な焚火と旨い酒で今シーズンで最も楽しい夜となった。

【9月17日】晴れ(夕方から霧)
 今日はメインイベントの「まぼろしの世界」が見れるとあって朝から楽しみでしょうがない。幕場から大ヒカバ沢出合までの柱状節理の岩壁帯が花崗岩の宮殿のようになっていて、このように言われているようだ。確かに写真で見るだけでもこの世のものとは思えない美しさで、それを今日は自分の眼で実際に見れるのだ!朝から気分アゲアゲで出発する。すぐに「まぼろしの世界」に突入し、メンバー全員言葉を失う。適当な表現が見当たらないので興味ある方は是非自分の足で行って見てきて頂きたい。最後に15m滝が出てきてこれを右岸から高巻く(ロープ使用)とすぐにシッカイ倉沢出合となる。

まぼろしの世界?行く手を阻む15m

圧巻の高さ数十mの大雪渓  この先は滝沢と名を変えて例年大雪渓帯となるのだが、寡雪&猛暑の今年は雪渓は皆無。しばらく河原を歩くと三俣となりここに高さ数十mの雪渓が現れる。下も通過できそうだが、その先がどうなっているのか?分からないので、我々は雪渓の上を通過しアサズキ嵓沢に入ったところで懸垂で沢床に降りる。
 この先はしばらく平和だがやがて30m大滝が現れここは左岸より高巻く。歩いて沢床に戻るとあとは悪場もなくひたすらガレ場を詰めていく。1,660m二俣は予定通り右俣を選択してもうひと頑張りで稜線へ。ここから中ノ岳山頂は1分、更に5分で避難小屋に到着して遡行成功を祝っての大宴会となる。

中ノ岳山頂にていつものポーズ!
〈コースタイム〉
【9月16日】 銀山平駐車場(6:00) → シッカイ沢出合(幕)(14:30)
【9月17日】 幕場(6:00) → シッカイ倉沢出合(10:00) → 中ノ岳(17:00)
【9月18日】 小屋(6:00) → 十字峡(10:30)

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