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集中山行・谷川岳
その4 沢登り・赤谷川本谷
小芝 泰規

山行日 2023年9月23日~24日
メンバー (L)小芝(泰)、鈴木(一)、平井

 今回の仲間は、前回の平標集中の時にドウドウセン横にある小出俣山まで藪尾根を歩き、そこから赤谷川に入渓するという面白いルートをたどったメンバーだ。主な滝を丸ごと巻いたので、次は是非滝を見たいという。私自身まだ見たことがない谷川の茗渓に行くチャンスを得て今回の企画をした。

【9月23日】
 昨日から雨が朝まで続いていた。川古温泉付近は多少の濁りはあるが、それほど増水していなそうだ。入渓点まではヒルの活性が気になったが、蓋を開けたら1匹見つけただけだった。
 登山道の渡渉点から入渓するとすぐにゴルジュっぽくなり、岩の間から黒々と光ったマワット下ノセン20mが現れた。
 想定していた滝上部のスラブを登るラインは水流があって厳しそうだったので、左壁際をハーケンと灌木で支点を取りながら登った。ロープが大きく右に屈曲するのでプーリー付きのカラビナが役立った。

マワット下ノセン20m乾いた岩を狙って左壁沿いを登った

 滝を超えるとまたすぐにマワットセン15mが現れる。周りが開けて明るい感じなので、下ノセンと比べるとまるで圧迫感が無い。高度感もなくホールドも多そうだ。先も長いのでさっさと片付けようと右壁に取付く。が、岩がぬめって思うように進めない。たわしで掃除しながら右壁を慎重にリッジまで登ってからトラバースし、左上した。中間部は思いのほかホールドが小さく、フォローの二人はヌメリと相まって苦労していたようだ。
 途中、ハーケンとカム#1で支点を取り、ビレイ点はカム#0.4と0.5を使った。
 続く巨岩帯は主に左側を進んだ。終盤は巨岩が折り重なってはるか彼方まで谷を埋め尽くしている。しばらく絶望的な眺めに圧倒されていたが、気を取り直して左側を折り重なる岩伝いに乗り越えていくと割と楽しみながら進むことができた。

中間部はホールド小さめ。ヌメル...どうやって進もうか?!

大迫力!一見の価値あり。  14時に裏越ノセンに出た。回復するはずの天気はいまいちで肌寒い。滝つぼの浅そうな所を選んで正面のルンゼに取付いて高巻く。
 ルンゼは上部で狭まり灌木が出てくるので、それを手掛かりに右のヤブ尾根に乗る。しばらく尾根を進み、笹ヤブを上流方向にトラバース気味に下降していくと15時過ぎに日向窪出会いの少し手前に降り立った。ドウドウセン上まで駒を進めたい気持ちはあったが、今から大高巻きに入るとヤブヘッデンの可能性大だ。メンバーと相談して日向窪のチョックストーン滝だけ確認し、今日の行動を終えることにした。時間はたっぷりあるので方々散って薪を探しまわったが、細い枝しか見つからずささやかな焚火宴会となった。
 日向窪出合には、増水には耐えられないが2か所の幕場可能地があった。私たちは出合から少し上がった左岸にちょうど大人3人が横になれる砂地を見つけてその日の宿とした。

【9月24日】
小尾根を目指して下る。  起きると星が出ていた。5:30に幕場を後にし、昨日下見したチョックストーン下まで日向窪を登る。沢を外れて右側の開けた草の斜面を右上していくと、間もなく細い枯沢を見つけたのでこれを詰めていく。ヤブに変わってから更に30mほど登ると、ヤブが薄く前方が開けた緩い傾斜地に出た。ここから斜面を右方向に進路を変えてシャクナゲのヤブを進むと大きな岩に突き当たる。これを通りやすそうな左から回り込み、更に右上すると沢へ乗り越えていく尾根の1,450m付近に出た。朝一からの大高巻きはなかなかしんどい。ここからは1,507mから沢床に向かって伸びる尾根を目指して斜面をトラバースする。小さなルンゼを1つ越えて尾根に乗った。尾根の左側を下り、コブのような小尾根からロープ無しで沢床に降りた。
 ドウドウセン上は平和な渓相で体の力が抜ける。焚火の跡がいくつかあり、燃やしきれなかった薪が山積みされていた。8m滝は、滝の手前まで続く左壁のバンドを進み、いやらしい泥付きを直上して小さく巻いた。不慣れなメンバーがいる場合はロープを出した方が良い。
 続くゴルジュ帯は明るいミニゴルジュで、ヘツリが楽しい。その後は雄大な谷川の山並みを楽しみながら詰め上げ、わずかなヤブ漕ぎで12時に登山道に突き上げた。オジカ沢の頭でゆっくり昼食をとってから肩の小屋に向かうと、笹ヤブからガサガサとヒツゴー沢組が現れプチ集中となった。そこから一緒に肩の小屋にゴールした。

ヒツゴー沢チームと集中!

 集中が危ぶまれていた我々が集合写真に納まることが出来てほんとに嬉しい!沢慣れしていないメンバーもいたが、頑張って登り、歩いてくれました。苦労した記憶は良い思い出として心に刻んでくれるでしょう。三峰万歳!

〈コースタイム〉
【9月23日】 川古温泉(7:00) → 渡渉点(入渓)(9:00) → マワットセン上(12:30) → 裏越ノセン(14:00) → 日向窪出合(幕)(15:00)
【9月24日】 幕場(5:30) → ドウドウセン上(7:00) → ゴルジュ帯(8:00) → 登山道(12:00) → 肩の小屋(14:00) → 天神平(16:00)

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