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交差縦走・八十里越
(入叶津~吉ヶ平)
飯塚 陽子

山行日 2023年11月3日~4日
メンバー (L)小芝(泰)、清水、田中(聖)、飯塚

 私にとって、過去3回(1回は沢登り)訪れている八十里越。
 KG総リーダーの例会に今回、懐かしさと秋のお宝目的で参加させてもらった。
 今回は参加メンバー12名が集まった為、3チームに分けて、空堀茶屋跡にプチ集中のスタイルとなり、私は小芝リーダーの「入叶津から吉ヶ平コース」に参加した。

木ノ根峠に到着  前夜は、道の駅ゆのたにで仮眠し、翌日早朝に出発したが、浅草岳叶津登山口まで思いのほか時間がかかり、登山口到着は8:30を過ぎていた。入叶津口から空堀小屋跡までは長丁場となるので、ここでそそくさと身支度をして出発する。
 以前から変わらずに設置されているゲートを越えて、その先に続く車道をてくてくと歩いていく。登山口入口まで約1時間、標識はなかったが、GPSで入口を確認し登山道に入っていった。
 登山道に入ってからは、薄雲も切れて青空が広がりだし、紅葉の色が一段と鮮やかな素敵な森の山道をどんどん進んでいく。
 天気も景色も素晴らしく、今年一番の色鮮やかな紅葉を楽しみつつ、途中お宝を発見しては、そのたびにみんなで盛り上がりながら、元気に歩いていった。
 過去、最初の八十里越えを歩いた時は、木ノ根峠までの間に化物谷地という湿地帯があり、ズボズボはまりまくって歩いた箇所は、今回も多少ズボったところはあったが、問題なく通過できた。
 その時は逆コースから歩いてきたのだが、道間違いやオーバーお喋りタイムにより、時間もかなり押していたせいか、ズボズボの湿地帯にはまりまくり、その時のリーダーえっちんは激高しながら歩いていたし、メンバーの土肥さん&ちあき、もちろん私も思いっきり騒ぎながら歩いたっけな~。そんなことを思い出しながら、この八十里にはいろいろな思い出が詰まっており、その時の情景が所々で蘇ってくる。
 そしてようやく13:30過ぎに木ノ根峠に到着。明るく開けた峠で石標もある。

楽しい宴会!  この先では、5,6パーティーとすれ違うことになったが、過去に来た時(3回とも)他パーティーに会ったことがなかったので、思いのほか人が入っていて人気ルートになっていることに驚いた。
 田代平を越え、何本もの沢を横断し、鞍掛峠についたのは既に16時を過ぎていた。
 あとは暗くなる前に何とか今日の幕場に到着したいとの思いから、リーダーのペースアップ宣言と共に、そのペースアップした足取りにみんなで必死についていく。
 そろそろ空堀小屋跡に近い場所だと思われたところで、道が二俣になっていて分かりづらかったのと既に薄暗くなってきたので、モートーコールをしてみたら、すぐに「モートー」の声が返ってきた。やった、ゴールはすぐそこだ!
 そしてモートーコールに導かれて、右の道を進んでいくと、なんとちあき組長が迎えにきてくれて、あとは爆竹音と共に、みんなの笑顔が我々を迎えてくれたのだった。めちゃめちゃ嬉しかった~~!
 その後は、すぐに宴会の輪に入り、まずは先着組が作ってくれていた、数々の美味しい山の幸メニューに舌鼓を打ち、また、我々のチームさとさんが、ご飯好きの私のために?なんと4合の米を担いできてくれていて、その米で炊いた栗ご飯もとても美味しかった。
 こうして、満点の星空の下、素敵な幕場で最高の時間を過ごすことができたのだった。

 翌日も快晴。
 昨日の疲れが抜けきらずに起きられなかった我々は、他2チームがそれぞれ出発してから起きて、ゆっくりと朝ごはんを食べてから出発する。
 ここから下山口の吉ヶ平方面への道のりは、紅葉が一段と鮮やかで、色づいた山々を愛でながら、気持ちよく歩いていく。
 そして、途中ちあきチームとも合流し、無事に吉ヶ平に下山となった。

 この後はいろいろありましたが、現地で合流した三澤さん含め総勢13名で奥会津のはっち宅にお邪魔し、またまた大宴会が開催されたのでした。
 紅葉と山の幸、そしてお天気とメンバーにも恵まれ、最高に楽しい山行となりました。

はっち宅の前で
〈コースタイム〉
【11月3日】 浅草岳叶津登山口(8:50) → 木ノ根峠(13:40) → 空堀小屋跡(17:30)
【11月4日】 空堀小屋跡(8:00) → 吉ヶ平(12:00)

交差縦走・八十里越
(吉ヶ平~入叶津)
鎌倉 季美恵
和田 昌子

山行日 2023年11月3日~4日
メンバー (L)永岡、金子、高木、深谷、和田、高橋(史)、淺井、鎌倉、(甘川)

 今回の計画は初日に入叶津登山口から入る1P、吉ヶ平登山口から入る2Pの総勢13人が八十里越ルートを進み空堀小屋跡地で合流し幕。
 2日目、入叶津組は吉ヶ平登山口へ下山し、吉ヶ平組の2パーティーのうち1Pは吉ヶ平ピストン、1Pは入叶津へ下山する計画である。
 私は吉ヶ平~入叶津ルートだ。

 前泊は道の駅ゆのたに、3パーティーに分かれ軽めに前夜祭をして明日に備えて就寝。

【11月3日(土)】(記録:鎌倉)
わいわい楽しい登山の始まり!  1日目、朝5時に起床し軽く打ち合わせをしてそれぞれの登山口へ向かった。
 前々から登山道が泥濘んでいて沢靴でも良いくらいと噂の八十里越ルート、前日に雨は降っていないはずだが吉ヶ平の駐車場に着いた時点で既に泥濘んでいた。
 8時半登山開始、私達より早く3パーティーほど山に入っているようだ。
 この日は快晴で11月にもかかわらず薄手のカットソーで丁度良かった。
 登山道は大きな起伏はないが小さな沢がいくつも出て来てただでさえ泥濘んでいる道を何度も渡渉するのは体力を消耗した。
 数年前に同じ道を歩いた方曰く、昨年の大雨でかなり道が変わったようだ。

小沢の渡渉が何度も出てくる  登山開始から2時間を過ぎた11時前、小休憩でザックを降ろし各々に身体を休めていると、前方から高木さんの「何これ!!」と言う声が聞こえた。
 慌てて皆近寄ると立派お宝が登山道の脇から生えているではないか!!
 本来なら血眼になってでも探すようなモノが登山道にひっそりと鎮座していたのである。
 それもかなり立派に成長してらっしゃるではないか!!
 全員がキャーキャーと黄色い声援と共にお宝と記念撮影をする。
 もはや国民的アイドル。
 アイドルとの突然の出会いは全員の心に温かな気持ちとこの山行の完全勝利を確信させた。
 我々は小躍りかスキップしながら進みたくなるような気持ちをグッと抑えてさらに登山道を進んだ。
 12時半、番屋乗越通過。
 午後から1時間おきに入叶津組と無線でやり取りを試みるが距離が遠いのか山に阻まれているのか一度も無線は繋がらなかった。

紅葉とすすきで秋の訪れを感じます  この後も雨で崩落したような小さな沢の渡渉が何回か続く。
 15時前、そろそろ幕場を探さなければという事でテントを担いている5名は先行して小走りで歩いた。
 20分ほど小走りをしたところに開けた場所に出た、幕場予定の空掘小屋跡だ。
 小屋が立っていたからかとても平坦でさらに水場も近く幕場に最適である。
 ザックを降ろし整地を始める。
 そうこうしている間に後続チームも合流した。
 テントの準備をしているとランボーが銃撃しているかと思うような猛烈な爆音が鳴り響いた。
 熊避けの為に幕場の周りをランボーではなくちあきさんが爆竹をつけていた!狂喜乱舞(?)の宴の始まりである。
 吉ヶ平組はジャンテン1張り4-5テン1張り。入叶津組の4-5テンの場所を確保し焚き火と宴の準備に取り掛かる。
 周辺に折れた木があまり無く薪の集まりは悪かった。
 やや薄暗くなった17時前山の奥から「もーーーとぉーーーー!!」と聞こえた!皆立ち上がり「もーーーとーーーー!」と返す。
 移動距離の長い入叶津組が近くまで来たのだ!
 ガサガサと歩く音と共に入叶津組の姿が見えた時は安心と嬉しさで感動した。
 今年の集中山行に参加出来なかった私はここでプチ集中を経験させてもらえた。
 吉ヶ平組の夕飯は淺井ちゃんと横チンが準備してくれた鯖ポテトサラダ(鯖缶を丸ごと入れるだけでめっちゃウマ!)と豪華なちらし寿司である。
 そしてちあきさん特製キノコ汁!!
 美味しい夕飯と今日のハイライトで皆酒が進む進む。
 薪は少ない割に焚き火もいい感じに育った。21時を過ぎた頃、一人また一人とテントに吸い込まれていく、私もこの日は早々に寝てしまったが深夜まで宴は続いていたらしい。

イルミネーションで照らされた幕場(宴会場

【11月4日(日)】(記録:和田)
朝日の当たる烏帽子山を眺めながら歩く  2日目は、吉ヶ平に向かうパーティーと別れ、入叶津発組が乗ってきた車で温泉に向かい、合流後、元会員が営む金山町の宿に宿泊するという行程だ。朝5時起床、各々で食事をすませ、6時に出発。朝日がのぼる中、しばらく歩きやすい道をあるく。少し肌寒い早朝に、紅葉でそまった美しいブナ林を歩くのは実に気持ちが良い。しばらくするとテント泊しているパーティーが見え、そこが高清水沢だった。この場所は、目の前に雄大な烏帽子山がそびえ、反対側も延々と続く里山と、深い自然にどっぷりつかるのに最適な幕場だ。4-5人テンなら3張は余裕で張れる。いつかここで何泊かしてゆっくり過ごしてみたいなぁ。水を取り、朝日にあたって赤くなった烏帽子山を眺めながらしばらく歩く。
 また、足場の悪いぐちゃぐちゃなトラバースの道になるが、昨日より道幅も広く、歩きやすい。なめこ、ひらたけ、ならたけをはじめ、見たことのないキノコがたくさんあった。しばらくすると、鞍掛峠(標高965m)に到着。戊申の役で西軍と戦闘があった所とのことだが、今は石碑があるだけの穏やかな峠であった。少し藪のある道を過ぎると田代平への道標がある。右へ曲がると広い湿原にでた。山深い道もよいが、広い湿原の解放感も爽快でまた気持ち良い。少しゆっくりして、登山道に戻る。
 田代平を越えると、ひたすら道幅が広く綺麗で歩きやすい平らな道をただただ歩き、木の根峠(八十里峠:標高845m)に到着。がらんと広い平らな場所で、「木ノ根茶屋跡」の石碑があった。明治時代は年間18,000人が峠を越えていたとのことで、ここでお茶や団子を食べて休んでいたんだなぁと思いながら、我々も一本とる。

田代平の湿原南会津の山々と八十里街道

 その後も延々とつづく南会津の雄大な山々と、秋の味覚を眺めながら歩き、ブナ林の道をジグザグ下りつづけるとようやっと登山口に到着。入叶津駐車場まで延々と続く舗装道路は、疲れた足腰に響く。ヘロヘロになって駐車場に到着すると、ちあきさん号がパンクしたと連絡あり。心配しながら集合場所の早戸温泉 鶴の湯に向かうと無事合流。ゆっくりつかって、元会員の八須君が営む金山町太郎布の「みみをすます」へ。太郎布はかつて30軒の家があったが、今では11軒8名になってしまったという小さな集落だ。八須君は、この地を流れる空気感に惚れて2019年に移住。100年も経つ家を借り古民家の解体現場から頂いた古材などを使って改修し、現在カフェと宿を営んでいる。木を切って薪を作って暖をとり、日本蜜蜂の養蜂、からむしの収穫から糸作り、機織り、田んぼに、野菜畑、山菜やキノコ採り、雪山でのマタギなど、自然と共存する彼らの生活を身近に感じられるとても素敵なあたたかい宿だ。今回も、きのこや山菜など時のものをたくさん頂き、また、ほんの少しだが丸太小屋づくり体験。穏やかでとても楽しいひと時を過ごすことができた。こんなに大勢のやかましい集団を受け入れてくれた八須君と奥様に本当に感謝する。

丸太小屋づくりの丸太運び体験

おまけ:帰宅後、脇にマダニにかまれているのに気づき、切開して切除した。虫よけを大量にかけて、長袖長ズボン、手袋していても知らぬ間に刺されたので今後行く方はご注意を!

〈コースタイム〉
【11月3日】 吉ヶ平駐車場(8:30) → 番屋乗(12:30) → 空堀小屋跡(15:15)
【11月4日】 空堀小屋跡(6:00) → 高清水沢(6:40) → 鞍掛峠(7:35) → 吉ヶ平(12:00) → 田代平(8:50) → 木の根峠(八十里峠)(10:10) → 登山口(14:00)~入叶津(15:30)

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