山行日 2023年12月30日~2024年1月2日
メンバー (L)高橋(史)、和田、甘川
今年の年末年始を雪山で過ごすことになるとはほんの3ヶ月前には全く想像もしていなかった。
三峰に見学に行ったのは約3ヶ月前の9月。山は高尾山や筑波山に行ったことがある程度、そんな状態の私でも温かく迎えてくれたのが三峰山岳会だった。見学に行ってから、まだ正式に入会していなかったときにも、たくさんお試し山行に参加させていただいた。数か月前まで無積雪期の山すらほとんど登ったことはなかったが、雪山は素晴らしいとルームで聞き、行ってみたいと思っていた。雪山を始めるにはとにかく装備を揃えるのが大変だったが、三峰の先輩方にいろいろと装備を譲っていただき、何とか最低限の装備を揃えることができた。この年末年始の山行は4回目の雪山、2泊以上の長期ははじめて、ちょっと背伸びだけど、真教寺尾根はどうかということで、計画が決まった。
今回は電車で小淵沢駅に向かい、そこで前泊。初っ端から電車の乗る方向を間違えて危うく終電を逃すところだったが、何とか間に合った。
【12月30日】
小淵沢6時11分発の始発で清里駅へ、タクシーでサンメドウズ清里スキー場に向かった。8時半にスキー場のリフトで一気に標高1900mに。ここで、別パーティとしてこの日真教寺尾根を登る予定で、リフトを使わず下から歩いてきた萩さん、パンさんと合流、まずは牛首山へと向かった。この週はかなり気温が高く、この日も晴れて気温は高め、雪山に来たはずが、牛首山についてもほぼ雪は見当たらず。雪の積もり方次第で初日の幕場は真教寺尾根の急登前かキレット小屋を検討していたものの、翌日の天気が悪いこと、水問題、ラッセルがないことを考慮して現在も営業中の行者小屋を目指すことに。どこからが正確に真教寺尾根なのかわからなかったが、次第に勾配が増していく。かなり負担している共装は少ないが、長期雪山テント泊の荷物がとにかく重い。秋のような山を雪山装備で登るのは辛いが、天気に恵まれ、きれいに見える富士山に癒やされる。
標高を上げると徐々にうっすら雪もついてきた。まだ付けたことのなかったアイゼンを初めてつけて歩いてみる。アイゼンで岩の上を歩けるのか、半信半疑で恐る恐るゆっくり進んだ。鎖場に出ると雪はほとんどなく、完全に乾いた岩だった。少し急なところで、ロープを出してもらって登った。冬靴と荷物の重さで登りにくかったが、岩を登るのはとても楽しかった。想像以上に長かったものの、何とか登りきり、赤岳に向う分岐に着いた。赤岳を経由して、行者小屋に向かうため、頂上の手前に荷物を置いて、赤岳山頂へ向かった。早くも日が沈みかけ、夕日に染まる山が美しかった。
文三郎尾根を使って行者小屋へ向う。なれないアイゼンで躓かないように注意しながら、ヘッデンで坂を下るのは正直少し怖かった。しかし、後になって思えば、この経験でだいぶアイゼンの扱いに慣れることができたのだと思った。途中で美しい星空を眺めながら、19時頃本日の幕場である行者小屋に到着した。
【12月31日】
この日は事前の予報通り天気が悪い。
昨日予定よりも進んだため、今日は停滞日となった。本日下山予定の萩さんとパンさんと別れ、昼過ぎまでテントで過ごし、少し歩いて赤岳鉱泉まで移動した。途中、いくつかアイスクライミングやバリエーションルートの入口を教えてもらながら、いつか来れるようになりたいと思った。赤岳鉱泉では大晦日のビンゴ大会に参加するも残念ながら誰も当たらず・・・来年は運がよいことを祈る。
【1月1日】
昨日から夜中にかけての雪で程よく雪が積もり、快晴の朝を向かえた。これが八ヶ岳ブルーかと納得出来るような青空と遠くに見える山々を楽しみながら、硫黄岳へ向かう。こんなにもいい天気なのに、降りてくる人々はなんだか辛そうである。話を聞くと、硫黄岳は暴風が吹いているらしく、半分以上の人は登頂を諦めて引き返してきているようだ。こんなにも穏やかで天気がいいのに本当なのかと思いながら、先へ進むと、確かに地吹雪が見えた。そんな中を歩いている人影も見えた、途中で見えた大同心にもいつか行ってみたいと思いつつ、このエリアは次回に持ち越し。
稜線沿いを進むのは諦めて、赤岩の頭からオーレン小屋を経由して、夏沢峠へ向かう。青空の中トレースのある緩やかな道を歩くのはとても気持ちがいい。
夏沢峠からは風が吹いていると思っていたが、ほぼ無風、振り返った硫黄岳も穏やかなようで、少し残念。ここから天狗に行き、黒百合ヒュッテで宿泊するというのが、昨日時点の予定。天狗の手前にある根石岳山荘がお正月は営業しているとの情報を得て、以前から和田さんが気になっていたとのことで、立ち寄ることに。山荘前は普段は強風が吹くらしいが、この日は無風。足元には風の強さを示すエビのしっぽ、左右には絶景が広がっていた。山荘の扉を開けると、改修したてということで、新しい檜の香りが疲れた体にしみる。お茶を1杯のはずが、部屋に空きがあるとのことで、いつの間にか宿泊することに!?先輩2人に初めての小屋泊のお年玉をいただいて、今夜は快適な小屋泊が決定。少しエネルギー補給をしてから、空身で根石岳を経由して東天狗へ。
風もなく、雲ひとつない青空の中、所々岩が見える程度に積もった岩を少し慣れてきたアイゼンで進む。空身のありがたさを実感しながら、山頂に到着。こんなに穏やかなことは無いと言われるほど、風もなく、360度の絶景が広がる。言葉や写真では表せないほど、心底、来てよかった思える景色だった。
根石岳山荘に戻り、小屋の方にサービスもしていただいて、非常に快適な小屋泊を満喫した幸せな1日だった。
【1月2日】
当初は、昨日小屋で知り合った方と日の出を見に天狗に行く予定だった。しかし、朝目覚めてみると、ものすごい風の音が・・・外に出てみると、昨日と同じ場所とは思えないくらいの暴風。視界も悪く、この風の中、岩場を登れる自信はなかったので、おとなしく諦めることにした。ちなみにこのくらいの風はここでは通常らしく、むしろ昨日が異常に穏やかだったよう。かわりにヨコチンさんが作ってくれた新年のお雑煮を堪能して、ゆっくりと過ごす。
昨夜、根石岳山荘に宿泊すると、なんと夏沢鉱泉あたりから茅野駅まで送迎していただけるとわかったので、出発予定は11時。出発まで暇なので、ロープワークを少し教わり、夏沢鉱泉まで1時間のハイキング。4日ぶりのお風呂を味わい、追加で20分程歩いて、そこから送迎バスで茅野駅へ。長いようで短かった信じられないくらい充実した3泊4日は幕を閉じた。
【12月30日】 | サンメドウズ清里(8:30)~牛首山(10:30)~真教寺尾根終了(15:15)~赤岳山頂(16:20)~行者小屋 文三郎尾根(19:00) |
【12月31日】 | 行者小屋(14:00)~赤岳鉱泉(15:30) |
【1月1日】 | 赤岳鉱泉(7:00)~赤岩の頭(9:00)~オーレン小屋(10:00)~夏沢峠(11:00)~根石岳山荘(12:00-14:00)~東天狗(14:45)~根石岳山荘(15:30) |
【1月2日】 | 根石岳山荘(11:00)~夏沢鉱泉(13:00) |