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雪上訓練・谷川岳西黒尾根
甘川 由理

山行日 2024年1月13日~14日
メンバー (L)高橋(俊)、高橋(史)、川口、宮本、田中(聖)、廣澤、甘川

【1月13日】
ロープワーク講習  谷川岳ロープウェイ駐車場に車を停め、まずはそこでビーコンの使い方と基本的なロープワークについてレクチャーを受けた。ビーコンのスイッチを入れて雪山に行ったことはあったが、正直なところあまり使い方がわかっていなかった。いざという時に使えないと意味が無いので、事前に1列に並んでお互いのビーコンが送受信できるか確認しておくのは重要だと感じた。
 ロープワークについては、ジムやその他の山行でいくつか教えてもらっていたことはあったが、まだまだスムーズにできていない。私を含めロープワークに慣れていないメンバーも数人いたので、基本的な結び方から教えてもらった。エイトノット、グローブヒッチ、もやい結びなど教えてもらった時はできるようになっても、しばらくするとよくわからなくなってしまうので、しっかり復習して、目をつぶってもできるようにしておきたい。
 その後、西黒尾根に向かい、鉄塔まで登った。そこで、駐車場で教えてもらったロープワークを使いながら、スタンディングアックスビレイと腰がらみのやり方をレクチャーしてもらった。例年に比べ雪が少なく、ピッケルをさせるほどの深さがなかったので、ピッケルを雪の中に埋めて抜けないようにする方法で行った。腰がらみはこんなに簡単で大丈夫かと思うほど準備が簡単であったが意外としっかりと支えることができるのだと感じた。
スタンディングアックスビレ  その後は、雪崩などで、雪に埋まった時にどうなるか体験してみようということで、何人か実際に雪の中に埋まってみた。呼吸のスペースを確保しておくのは大切だと感じた。プローブを指してみると、確かに、人の体に触れると少し感覚が異なることがわかった。
 まだ終わるには早いということで、少し休憩した後はその他の支点の作り方を学んだ。土嚢に雪を詰めて埋める、枝を埋めての支点作りやスノーボラードを行った。斜面に沿った向きに対して力をかけていれば、かなりの力がかかっても耐えられることがわかったのは大きな学びであった。雪の状態や装備に応じて臨機応変に対応したい。
 14時頃になったので、下山した。下山途中でエデンさんの足が挟まるトラブルがあったが無事ロープウェイの駐車場へ。
 例年は雪が多くて車が入れないと言われている白毛門駐車場も今年は雪が少なく、車高の高い2台であれば入ることができたため、車で移動して、テントを張った。夜にかけてそれなりの雪が降ったため、テントの結露がすごかった。明日は深いラッセルになるかもしれない。

【1月14日】
 今日は西黒尾根をラッセル訓練である。前日の夕方から腰の痛みが悪化し、さらにスマホを無くしてしまった・・・エデンさん以外のメンバーで登った。5時起き、7時出発の予定であったが、出発できたのは8時前・・・毎度、準備が遅くて申し訳ないので、もっと早く準備できるように、先輩方を見習いたい。西黒尾根は昨日のトレースに加え、既に多くの人が入っているようで、しっかりとトレースがあったが、トレース訓練のため、できるだけ自分たちでラッセルを行った。
トレースはあるが、ラッセルで!  日帰り装備のため、ほとんど荷物はないようなものだ。いかに、荷物がないと楽か実感する。昨日よりは雪が積もっており、時々ズボッとなることはあるが、雪もあまり重くなく、締まりやすいので比較的歩きやすかった。俊介さんの花魁歩きを真似してみると、無駄に雪を掻き分ける必要がなくなり、1度リズムに乗れると驚くほど楽にラッセルできることがわかったのは収穫だった。とはいえ、肩付近まで雪がある時は、ピッケルで雪を落として固めて進まなくてはならないが、なかなか固まらない。新人を中心にラッセルを交代しながら進んでいく。結構頑張っているつもりだが、1時間に100mほどしか高度が上がってないらしい・・・
 次に先頭でラッセルしたときには、つい数日前に入会した廣澤さんが、なかなか追いついてこなかったので、少し長いラッセルになった。私も最初に雪山に行った時は、あんな感じで全力なのに全然先頭についていけなかったと思い出す。その頃はラッセルなんて全然楽しくなく、すぐに息が上がってバテていたが、慣れてきたのか、荷物がないからなのか意外と疲れなかった。体力をつけるのは大事だなと改めて思う。
気持ちいいラッセル!  今日は12時までに登れるところまで登って下山の予定だ。11時を過ぎても目標だったラクダのコルはほど遠い。せっかく天気がいいのだから、少しでも上に行きたい。全然進まず、トレース以外の道も少ないので、後半はトレースを多めに使う。ここから見えるピークらしきところまで行くのが、時間的にギリギリだろう。最後のラッセルを誰がするかということになったが、一瞬の沈黙。まだ、体力は残っていたので、せっかくの訓練なのだから、力尽きるまでやろうと思い、ラッセルに立候補。この選択は大正解だった。既にあるトレースを少し左に逸れると生い茂っていた木が少なくなり、視界が開けてきた。今日は天気も快晴で、非常に気持ちがいい。雪庇に気をつけると本で読んだことはあったが、もう少し木のギリギリを歩いた方がいいと教えてもらって初めてこれが雪庇なのかと知る。雪庇を踏み抜くと、昨日、積雪が少なくてできなかった滑落停止訓練ができそうな斜面に見えたが、怖いので、滑落しないように木にぶつかりながら進む。さすがに疲れてきたが、こんなに綺麗なところを自分でトレースをつけながら歩くのはとても楽しく、最高の時間だった。

〈コースタイム〉
【1月13日】 ロープウェイ駐車場(ビーコン説明、ロープワーク)(8:00~9:30) → 西黒尾根鉄塔(スタンディングアックスビレイ、腰がらみ、ビーコン探し、雪に埋まってみる、支点作り)(10:20~13:20) → ロープウェイ駐車場(14:30)
【1月14日】 西黒尾根登山口(8:00) → 西黒尾根鉄塔(9:00) → クダのコル手前の偽ピーク、下山開始(12:00) → ロープウェイ駐車場(14:00)

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