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沢登り・実川硫黄沢
甘川 由理

山行日 2024年6月29日~30日
メンバー (L)荻原、青木、石毛、川口(修)、清水、渡辺(智)、甘川

 今シーズンからはじめた沢登り。ルーム後の飲み会などで、沢の話を聞くと半分くらいはイワナのことを聞いているような気がするが(後の半分は焚き火だろう)、そんなにイワナや釣りはいいのかな??とこの山行に行くまでは思っていた。今回の山行を終えた今、ようやく皆が言っていたことが少しわかってきた気がする。

【6月29日】
最高の沢日和  日帰りで行ける沢ということもあり、前泊地を6時に出発し、駐車場の出発は9時頃。アプローチはかなり短く、15分ほどで入渓。最初の滝から腰下くらいまで浸かって登り始め。直前まで天気が心配だったが、快晴で非常にいい沢日和。天気がいいと沢は本当にきれい。
 過去の記録ではヌメるためフェルトを勧めるものが多かったが、ラバー+横ちんさんに教えてもらって作ったわらじを試してみた。自作のわらじは想定していたよりよく、ラバーに比べてかなり滑りにくかった!難点は作るのが面倒なわりに耐久性が低く何度も使えないことだろう・・・材料費は安く、重さも軽いので、ラバーでは滑る時のお守り的な存在としてよいと思った。
 最初からいくつか滝があったが、基本的には巻きながら進んだ。トポによれば、登れるものも多いよう。時間には余裕があるので、適度に休憩をはさみながら進む。特に難しいところもなく、順調に進んでいたところで、突然のアクシデント発生。なんと、智代さんの沢靴のフェルトが剥がれかけている!靴のソール剥がれは、山行中に起きると非常に困る。まだ比較的新しいらしく、対策の難しさを感じる。先はまだ長いので、大丈夫なのか??と思っていたが、捨て縄とテーピング固定でなんとか大丈夫そうで一安心。一部メンバーは休憩も兼ねて、釣りを試す。餌釣りの、みーこさんは小さいのが釣れたもののリリース。次のスポットでも釣れず、今日の食料が調達できるのか焦りが募る。
 しかし、滝を越えてからは急に釣れ始める。釣り師の先行者がいたようなので、その人達は滝で引き返したのかもしれない。せっかくなので、私も道具を貸してもらい、初めての餌釣りを体験させてもらうことに!何もわからず、とりあえず言われるままに垂らしてみる。
初めての釣り体験!  それから数秒もしないうちに、何となく竿が重いような??水に浸かるとこういうものなのか?と思った。やり方を教えてくれていた荻さんに、「どう?引いてる感じある?」と聞かれたので、「引かれてるかもしれません」と竿を渡そうとした瞬間、魚が水面より上がったのか、バタバタと竿が引かれ、おっ!これは食いついている!と認識。
 様子が見えないところからだったので、引き上げられる位置に移動させようとするも重くて、なかなか思うようにいかない。逃げられるかなと思ったが、餌の場合は飲み込むとなかなか逃げられないようで、皆さんの力を借りながら何とか確保!その時点では1番大きいのが釣れたので、完全に棚ぼただったがとても嬉しかった(そのあと荻さんがもっと大きいのを釣ってくれた!)
 その後も各所で次々と釣れる。釣りというと、魚がかかるまでじっと待つイメージを持っていたが、沢の釣りは少しやってみて、反応がなければ、すぐに場所を変えるのだと知った。テンカラでも釣れていて、すごい。
 釣りを楽しんだ後は、もうすぐ幕場かと思いきや、この後の高巻きが今回一番の核心。左岸から2ピッチで巻いた。荻さんがトップで登っているが、足場がかなり悪そう。もしかして、ルートが違うのか?と思って1ピッチ目下部から右に5mほどのところに踏み跡らしきものが。こちらの方が正解だったかもしれないが、すでに引き返せる位置ではなかったので、そのままのルートで高巻き。高巻きのルーファイは難しいと思った。さて、私の番になり、登り始めるが、下の方は泥で、足場が崩れていて、なかなか進めない。次の人に申し訳なくなりながらも、足場を崩しながら何とか登っていく。2ピッチ目はそれほど難しくなく、少しトラバースしたあたりから、懸垂下降した。
 しばらく進むと、ちょっとしたゴルジュに突入。へつりで進むか泳ぎか。少し寒いが、泳ぎを選択。足がつかない。沢で足がつかないところは今回が初めて。といっても、ほんの2mほど進むだけだし、簡単かなと思っていたが、思ったよりも難しい。ヘルメットが押し出されて邪魔だし、メガネもかなり邪魔。見た目にはそれほど流れはないし、おそらく経験者にしてみれば、泳いだうちに入らないといわれそうだが、流れがあると想像以上に進まないのだと実感した。荻さんにロープがいるか聞かれたが、せっかくなので、もう一度トライ!
 何とか前に進んだが、あとちょっと登り口まで届かない・・・もう力尽きてまた最初からやり直しかな・・・と思ったが、やり直したくはないので、ちょっと壁をつかんでみるとまさかのガバで、足も届く。さっきまでかんばっていたのは一体なんだったのか!?本当に泳いで進むべきはほんの1mほどですぐにつかめるものが出てくる感じだった。沢で泳いで進むのは難しいのだなということを感じつつも、ほどよく疲れて楽しかった。泳ぎが得意でないメンバーはロープも使いながらここを乗り越えるとすぐに幕場に到着。
幕場まであと少し  幕場は少し高台になっていて、非常に快適。たくさん釣れた岩魚は、ガーリックバター醤油、お刺身、ハーブ焼き、骨の素揚げと様々な方法で余すことなく、とてもおいしくいただいた!料理してくれた皆さんありがとうございました。
 焚火を囲みながら、おいしい料理を食べる、なるほど、多くの人が沢がいいといっていた理由がわかる気がする。もっとたくさん沢に行ってみたくなった。
 いつも通り、宴会を楽しみ、きれいな星空を眺めながら眠りにつく。

【6月30日】
 翌日は4時起き、朝の準備をしながら、川口さんが今朝釣ってきてくれた岩魚の刺身を一口。今日はほぼ歩くだけで距離も短め、6時過ぎに幕場を出発。
 上部に行くにつれて、徐々に水?岩?が赤みを帯びてくる。これが硫黄沢と呼ばれる理由のよう?それと同時によく滑る。特に難しいところもないので、先頭を歩かせてもらう。先頭を歩くと、大したことない道でもどこを歩くと簡単そうかいろいろ考えて歩いた方がいいのだなと思う。先頭だと、逃げていく魚もよく見える。
 滑らないように慎重に歩きながらひたすら河原歩き。登れない大きな滝は右岸を巻いた。最後は、長池にはいかずに道路に合流する側の沢を進む。ぼーと歩いているといつの間に違う道に進んでしまいそう。無事に分岐を見つけ、道路に向かう方の沢に入るとこれまでと景色は一変。
 とてもきれいな水が流れていた。これまであれだけヌメっていたのがウソのように全然滑らない。これだけ大きく変わったのは驚きだった。清流といえるようなきれいな沢を進み、しばらくすると突然道路の橋が現れた。時刻は9時とまだかなり早め。七入までバスがあるようなので、誰もバスの時間は把握していないが、ひとまず片付けを進める。
 ちょうどいいタイミングでバスが来たので、バスに乗って、御池ロッジに到着。さて、ここから七入に向かうバスを探す。が、次のバスはまさかの3時間後・・・歩いて向かうか!?なったが、運よくこれから帰る方に乗せてもらって車を回収できることに。親切な方のおかげで無事帰路についた。

〈コースタイム〉
【6月29日】 駐車場(8:50) → 入渓(9:00) → 悪い高巻(14:45) → 幕場(16:45)
【6月30日】 幕場(6:15) → 沼田桧枝岐線への分岐(9:00) → 沼田桧枝岐線(道路)(9:20) → 御池ロッジ(10:00)

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