山行日 2024年11月2日
メンバー (L)権、宮本、渡辺(靖)、佐藤(明)、永岡、朴、平井、田中(聖)、小芝(泰)、小芝(麻)
他、韓国メンバー15名
私が三峰山岳会に入会したのは令和元年。入会ほどなくしてコロナ流行となり、日韓交流はなくなってしまった。ところが韓国在住の権さんと委員長が、コロナが明けたということで日韓交流再開の企画を計画してくれた。三峰山岳会にとって久しぶりの日韓交流会となる。私は三峰山岳会に入る前から、会員外でありながら日韓交流会には一度参加をさせてもらっていた。その時のメンバーに再会したいと思い、今回は会員として日韓交流に参加することになった。
今回の計画は、日韓メンバーがソウルで合流し、バスとフェリーを乗り継いで、韓国の南部にある島(統営市の南西に位置する島)である蛇梁島(サリャンド)でハイキングをする。目指すは智異山(ジリサン)。
さて、この山行は、まず前日の東京を出るところから始まる。東京羽田からの飛行機の出発が遅れ、仁川空港についたのは予定より40分遅れの22時30分。日本の3連休前の夜という事も影響しているのか、イミグレに長蛇の列ができている。入国に想像以上の時間がかかり、タクシーに乗り込んだのが23時50分。急いでいる旨を伝えたら、タクシーのドライバーはかなりのスピードで車を走らせてくれ、集合場所のソウル市内のホテルについたのが日付変わって0時30分と、集合時間から1時間遅れではあったが何とか韓国メンバーと合流ができた。久しぶりの韓国メンバーとの再会ではあったが、フェリーの時間もあるため先を急がないといけない。皆とは軽い挨拶とし、バスに乗車。待ちくたびれているであろう韓国メンバーだか、アニョハセヨと挨拶すると、元気にアニョハセヨと返してくれた。なんだか嬉しい。
今回の山行は、貸し切りバスを用意してくれた。事前にラグジュアリーなバスと聞いていたが、本当にその通り。飛行機のビジネスクラスのような革張りの広い座席で、かなり快適だ。長距離移行なのでとても助かる。バスに乗車すると、途中で買った牛肉のキンパを食べ、お腹が満たされると直ぐに眠りに落ちた。
途中サービスエリアに止まったようだが、気づかずにそのまま眠りつづけ、5時半に声をかけられて起きる。韓国南部の町、統営市に着いたようだ。朝食をとるためにレストランに立ち寄る。バスを降りると雨。傘をさして5分ほど歩くと早朝にもかかわらず、数人のお客さんがいるお店につく。名物のもやしクッパを注文。ほんとに韓国のレストランの手際はいい。それほど待たずに食事が運ばれてくる。熱々の土鍋の中でもやしたっぷりのクッパがお腹に優しい。ご飯を食べ終え、再びバスに乗車してフェリー乗り場に向かう。
フェリーは定刻通りの7時に、統営市のガオチ港を出て、約40分ほどで蛇梁島(サリャンド)の港に到着。蛇梁島は上島と下島の2つの島からなる。フェリーは上島にあるターミナルに着く。さっきまで降っていた雨が止んでいる。ラッキーだ!
蛇梁島の港の前は小さな町になっていて、コンビニ的な商店、カフェなどなどが立ち並ぶ。商店で行動食を買ったりしていると、港前から一台のバスが出ていった。ご飯を買ったりしていたので、バスを乗り過ごしてしまったようだ。どうやら上島には一台のバスしかなく、それが島を周回しているとのこと。つまり次の便はバスが一周してくるまで2時間ほど待つことになる。本来はバスに乗り、島の西側から智異山を経由して、東側にある港へ戻る登山道を歩くつもりだったが、2時間バスを待つのは勿体ないので、権さんの判断で急遽コースを変える。バスには乗らず、逆ルートとなる港から歩き始めて、智異山を目指す。智異山を越えて西側の本来バスを降りる場所まで歩くとバスの時間とタイミングが合わないと、帰りの船を乗り過ごす可能性もあるため、智異山まで行って、そこから南下するコースを取り、港まで徒歩で戻る周回コースを取ることにした。これだけの人数でのハイキングを取りまとめ、臨機応変にコース取りを考えるリーダーの権さんは凄い!
港から10分ほどあるくと、登山口に辿り着く。最初の30分ほどは急登。急登が徐々に落ち着いてくると、大きな岩の上を歩くようになってくる。一枚岩を歩くのだが、今朝まで雨が降っていたため、岩はとても滑る。慎重に足元を確認しながらゆっくりと歩く。今は整備されて、ハシゴやロープがしっかりと張られているところもかなりある。濡れた岩で滑りやすいが、手すりに捕まれば問題ない。昔はこのようなロープなどなかったらしい。その為、死者が出たこともあるらしいが、容易に想像できる登山道だ。
岩場を登りきると、翡翠服281mと書かれたところに到着。ここから先は稜線歩き。風が少し強いが凍えるような寒さではない。素晴らしい景色で、楽しみながら歩く。ただ足元は岩だったりするので、気は抜けない。めちゃくちゃ急なハシゴを登ったり、岩稜帯を登ったりしていると、このルートの名物である吊り橋に到着。けっこう揺れる~~(汗)
その後は意外と整備されているが、急な階段が続き、岩峰をいくつか超えていくと、月岩と書かれた地点に辿り着く。旗を広げて、みんなで記念撮影。
この先の分岐で、智異山山頂を経由せずに下山をするパーティーと、山頂を経由してから下山をするパーティーに分かれる。日本メンバーは山頂経由パーティーに入る。山頂までは30分ほどで到着。
山頂で一休みした後、来た道を戻り、途中から島の南側にでる下山道に入る。下山道は、踏み跡がいくつかに分かれていて、分かりづらい場所もある。我々も途中で下山道から外れた事に気づき、軌道修正。無事に登山道から舗装路に出た。30分ほど急坂の舗装路を下ると海沿いの道に出て、そのまま潮風を浴びながら、海沿いの道路をてくてく歩き、港まで戻ってきた。
15時15分に港につき、16時の船の乗船まで思い思い過ごす。カフェでコーヒーを飲む者、商店でビールを買って店先の椅子に座り呑み始める者、、、。私はオレオ入りのアイスを買い、アイスを頬張りながら港まで歩いてみる。港では乾燥させた海藻や、手作り醤油、梅ジュース、豆、漢方らしき食材などが路面に広げられ、地元の方によって売られている。売っているものをみると、ここは韓国なんだと実感する。そんな光景を眺めていると乗船時間となる。昨日からほとんど寝ていないので、眠さがマックスになり、みんなとは別に船室内の雑魚寝スペースで寝始める。床暖房が入っていて、岩盤浴のようで暖かくて気持ちがいい。あっという間に寝落ち。16時40分、港到着。
来た時と同じバスに乗り込み、20分ほど車を走らせ、本日の宴会の店にいく。ハンマウム食堂という牡蠣の有名なお店で、牡蠣づくしの料理がずらりと並ぶ。生牡蠣、蒸し牡蠣、カキフライ、牡蠣のキムチ、海鮮チヂミ、海鮮スープ、牡蠣釜飯などなど、記憶できないほどの料理がずらりと並ぶ。韓国スタイルのマッコリで乾杯を何度も交わしながら食べる料理は格別だ。登山と宴会という、このセットは万国共通の楽しみであろう。ソウルまで帰らないといけない我らは18時30分にお店を出て、バスでソウルへ戻る。
22時過ぎにソウルに到着。美味しい海鮮料理と、素晴らしい景色の登山コースを堪能した長く濃厚な1日が終わった。
今回の山行を計画してくれた権さんに感謝したい。また多くの韓国メンバーの参加によってとても盛り上がった山行になったことは間違いない。本当にありがとうございました。
各参加メンバーから一言:
【宮本】
コロナの影響で中止にした日韓交流山行が遂に復活しました。そして韓国チームの皆様、日本チームのリーダーを務めた小芝(麻)に多大なる感謝を申し上げます。この機会が無ければ韓国の離島「蛇梁島」に上陸することは無かった人生だと思います。そして、日韓交流が無ければ味わえなかった海の幸、地元飯を堪能した贅沢な山行でした。山よりも飲み食いしている日数が多かった様な?
来年は、韓国チームが来日する年になります。今回参加できなかったメンバーの力も借りて三峰全体で盛大に楽しい日韓交流にしたく思います。
あと仁川空港の充電ステーションに置き忘れたMYスマホ(笑)朴さんが居なければ捜索できなかった・・・。ありがとうございました。
【渡辺(靖)】
のどかな離島で絶景のトレッキング、豪華な牡蠣料理やフェリーまで、どれも貴重な体験をありがとうございました。そして何より、お迎えしてくださった韓国隊の皆さんの温かいお気遣いと、素晴らしいおもてなしが一番の思い出です。心温まる韓国の旅を本当にありがとうございました。来年はぜひ日本でお会いしましょう!
【永岡】
2011年の白馬岳、2013年の槍ヶ岳、2015年の硫黄沢、2017年谷川岳雪洞訓練(スキーで参加)と日本で開催するときは全て参加していましたが、韓国開催はまだ一度も参加できませんでした。コロナで交流山行が出来なくなり、久々の開催で、仕事の方もかなり融通が利く部署になったことから、今回こそはと参加させていただきました。久々の海外(15年ぶり?!)でチケットの手配方法も忘れてしまい、全てマキちゃんに手配頂きました。マキちゃんどうもありがとうございました!
韓国は30年前初めての海外一人旅で行きました。当時は金浦空港に降り立つとキムチの匂いが漂っていたのですが、近代的な仁川空港はキムチの匂いがせずに、ちょっとがっかりした気分になりました。
韓国の山登りは初めて。想像以上に整備されてはいましたが、切り立った稜線はなかなかの迫力でした。左右は絶壁でその下は海というあまりない景色。バスに乗り遅れて、当初予定していた縦走は出来ませんでしたが、満足した登山でした。
下山後の牡蠣尽くしの宴会も、予想以上に日本語を話してくれる方が多かったので、盛り上がりました。お酒好きも多く、楽しいひと時でした。
翌日は権ちゃんが朝から晩までソウルを案内してくれて、疲れているのに本当にありがたかったです。どうもありがとう!
次回は日本開催。我々を歓待してくれた韓国のみんなに満足してもらえるような企画にしたいですね。是非、みんなで素晴らしい企画にしましょう!
【小芝(泰)】
本当に久々の交流山行だったので、どれぐらい盛り上がるのかと案じながら韓国に到着したが、権さんをはじめ馴染みのメンバーは前と変わらず(お互いちょっと落ち着いた?)フレンドリーで、多くのニューフェースも加わって想像以上に楽しい交流山行でした。ジリサンも素晴らしかった!来年は日本。沢山来てくれると良いなぁ。
【平井】
韓国山行はアプローチ核心。九州縦断するより移動距離長いんだもの。ただ、用意してくれたバスが非常に心地良かったのでそこまで気にならないミラクル!登った山は良い山でしたが初心者にはちょっと怖いかな?といった感じでイメージとしては整備された二子山。韓国のメンバーは初心者が多く怖がっているのを「ケンチャナヨ」と励ましながら、かなり呑気に楽しんでました。私は英語がほぼ話せなかったけれど気持ちとボディランゲージで通じるもんだなと実感。それにしても韓国は何を食べても美味しかった!最近日本の飲食店に多いケチケチしている感じがないのが良いですね。
【朴】
誰が指示した訳でもないのに、韓国メンバーの皆さんは、とても友好的で、日本メンバーが渡したお土産の、三峰手拭いを各自早速頭に巻いたり、リュックの肩紐に結んだりして、日本メンバーと同じスタイルを真似してくれました。初心者も多く、初めての岩山でキツい山行だったようですが、終始賑やかに、時にはキャーキャーと声を上げながら、3つあるピークのうち、2つを全員で登りきりました。来年、日本での交流山行に、初心者も含め、多くの韓国メンバーが参加できるように、敷居を下げたコース設定をするのがいいよね、と日本メンバー内で話し合いました。一人でも多くの人に、日本の山の良さを体感してもらえたら、嬉しいです。
ちなみに私は韓国人ですが、こと山については日本の山の方が素晴らしいと確信しています。
【田中(聖)】
状況がよく分からないままに、成り行きで参加した韓国ハイキング。でも、こと外国の場合は、現地の人がいてくれると、全く違うからね。これは行っておこうと思った。結果、とても楽しかった。どこだって、誰とだって、同じ道を歩くというのは、こうも楽しいものなんだなということを再認識した。
金曜夜に成田を発ち、ソウル着後、そのまま韓国南端の統営に夜行でバス移動というのも、えらくゴージャスなバスで全く問題なし。まだ薄暗い早朝に、フゥフゥと冷ましながら頂いたクッパの美味しかったこと。サリャンドへ渡る船からの眺める景色は日本の天草あたりととても似ているように感じたし、ハイキングコースそのものはとてもよく整備されていて私達には心地よく、おっちゃん会社のはしゃぐ若者達は日本の若者達と変わらず、なんとも可愛らしかった。牡蠣レストランの活気は凄まじく(笑)、働くおばちゃん達は逞しく、打ち上げで行ったレストランのホルモン焼きとお酒はもう無限にマッチしていたので、どう考えても消費カロリーをはるかに上回るカロリーとアルコールを摂取してしまったけれど、それも全てよしなのだ。
ともあれ、特にオッチャン、マキさん、朴さんにはお世話になりました。食べるのが遅かった私に牡蠣をせっせと剥いてくれた韓国の若者にも、ありがとう。
登山口(8:10) → 翡翠服(281m)(9:00) → 吊り橋(9:30) → 月岩(11:00) → 智異山(397.8m)(13:00) → 下山口(14:30) |