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縦走・不帰の嶮
芦田 慶太

山行日 2024年10月12日~14日
メンバー (L)小芝(泰)、甘川、芦田

 例会の文言、「北アの美しい紅葉と雄大な景色に癒されながら、日本三大キレットのスリリングな縦走を楽しみましょう!」という謳い文句に誘われて、参加することに決めた。ただ、最近クライミングばっかりで、あまり山に行けてなく、体力のある小芝さん、あまちゃんというメンバーに置いていかれないか不安になりながら当日を迎えた。特に心配だった雪はまだ積もっていないらしく、そこは一安心。前泊して翌朝、ガスに覆われたり、晴れたりと忙しい栂池ロープウェイ乗り場に行くとすでに行列。チケットを買うのも、ロープウェイに乗るのも、乗り継ぐのにも全てに並ぶ。人混みから解放されたかと思いきや、歩き始めてもまだまだ渋滞。大雪渓ルート、鑓温泉が閉鎖されているのもあり、こちらに集中している様子。人混みの中、いきなりの急登を抜きつ抜かれつしながら歩く。結構ペースが早く、スタート直後にもかかわらず息が上がる。この先大丈夫かと不安になりながらもなんとかついていく。後から聞いたところ、あまちゃんも結構きつかったらしい。白馬大池につく頃には、すっかりガスに覆われてしまい、展望は絶望的。時々ガスの切れ間から景色が見えるくらいで、いつまでも終わらない登り坂に精神的にも体力的にも限界。何度も偽ピークに騙されながら歩いて、白馬岳頂上。あまちゃんがこれは修行です、と言っていたのが印象深かった。少し下ったところに白馬山荘。そこから更に下って本日の宿泊地、村営頂上宿舎。既にテントが何張りもあり、盛況の様子。我々もテントを張って、ゆっくりお茶を楽しむ。しばらくして夕飯。あまちゃんが、バゲット付きサラダとトマトスープパスタを振る舞ってくれた。野菜もお肉もたくさん入っていて、とても美味しく、山の食事とは思えなかった。食事を楽しんだ後、お酒を飲むメンバーがいないこともあり、19時には就寝。睡眠時間が長すぎて、起きたり寝たりを繰り返すことになってしまった。

ガスの中、白馬岳登頂!  翌日、4時前にあまちゃんがゴソゴソしだすと、みんな一斉に起床。正直、寝過ぎで早く起き出したいと思っていたのはみんな一緒だった模様。朝食を手早く済ませ、撤収。予定では2時間かけるはずが、1時間ちょっとで出発。目が冴えているからか、みんな準備が早い。昨日とは打って変わって、満点の星空の下、行動開始。朝焼けが素晴らしく、雄大な北アルプスを眺めながら進む。標高が高いからか、少し登りになると息が切れ切れになるも、時間に余裕があるので、景色を楽しみながらゆっくりと進む。天気には終日恵まれ、北は日本海、右手には劔岳や黒部ダム、正面にはこれから向かう唐松岳から先の方には槍ヶ岳が見える、360度の展望!これが観たかった!

北アルプスが一望できました  天狗山荘をすぎると、天狗の大下り。ここがかなり厄介。急なザレた道で、不慣れな私はまごまごしながら下る。最低部が不帰キレットで、ここから核心の不帰の嶮。直前の下りが覚束なかったのもあり、ハーネスを着用して心して向かう。ただ、鎖場とハシゴが少しあるくらいで、全然危ないところもなく拍子抜け。どちらかというと、その後の地味な登りのほうが、息が切れて辛かった。唐松岳につくと、人人人。もはや観光地の様相で、山荘までの道が人でぎっしりだった。栂池もすごかったが、それを遥かに超える人混みに唖然。ロープウェイでアクセスできて、この景観が観られるなら納得か。また、山荘からテントまでが遠く、往復30分もかかるため、トイレが大変だった。時計をみると、まだ13時前で、あまりに早い。昼寝などをして時間を潰して夕食。今日の担当は私で、実は初めての食当だったので、ドキドキしながら、サバ缶入ビーフンをつくった。みんな美味しいといって食べてくれて良かった。食事も終わると、本日も特にやることがないので、19時頃に就寝した。

これから不帰の嶮  翌朝は、寝すぎだし、混むのも嫌だからということで、3時に起床し、4時30分前には出発。暗い中、サクサク下っていく。本日も天候に恵まれ、段々と明るくなってくると、雨飾山、火打山、さらには富士山までが非常によく見えた。美しい日の出を見ながら更に下る。下っていくと、森林限界が終了し、樹木に囲まれるが、紅葉が美しい。景色を堪能しながらさらに下ると八方池。このあたりから木道が出てくるのだが、これが凍っていて、非常に滑る。正直、不帰の嶮よりもよっぽど怖い。このあたりから、再び人が増えてきて、すれ違いが多数発生。そうしているうちに八方池山荘。ただ、ロープウェイがまだ動いておらず、その下の駅まで追加で下る。ここも本当に人が多く、すれ違いながら下っていくと、ロープウェイ黒菱駅。ロープウェイが動き出すまで、ゆっくり帰り支度を整えて、今回の山行は終了となった。
 例会の文言通り、北アの美しい紅葉と雄大な景色に癒されることができて、大満足だった。また、心配していた体力問題は、幸いなことに顕在化しなかったのは良かった。ただ、高所での息切れ、覚束ない足取りは間違いなく問題なので、ちょこちょこ山に行きつつ、体力をつけていきたい。

〈コースタイム〉
【10月12日】 自然園駅(8:51) → 登山口入口(8:59) → 天狗平(9:51) → 白馬乗鞍岳(10:47) → 白馬大池山荘(11:10) → 船越ノ頭(12:04) → 小蓮華山(12:56) → 三国境(13:33) → 白馬岳(14:14) → 白馬山荘(14:44) → 村営頂上宿舎(15:04)
【10月13日】 村営頂上宿舎(5:14) → 白馬鑓ヶ岳(7:15) → 鑓温泉分岐(7:41) → 天狗山荘(8:01) → 天狗の頭(8:36) → 不帰キレット(9:55) → 不帰二峰北峰(11:04) → 不帰二峰南峰(11:48) → 不帰三峰(12:15) → 唐松岳(12:39) → 唐松岳頂上山荘(12:53)
【10月14日】 唐松岳頂上山荘(4:26) → 丸山(5:07) → 扇雪渓(5:23) → 八方池(6:05) → 扇雪渓(6:05) → 八方池山荘(6:50) → 黒菱平駅(7:23)

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