山行日 2024年10月12日~14日
メンバー (L)永岡
北アルプスでポツンと上高地を見下ろすようにそびえている霞沢岳。いつも上高地側からしか見ていない。行くにも霞沢岳だけで行くには何となく勿体ないと思っていた。以前、島々谷側の南沢の沢登りがよかったと聞いたので、今回は南沢を遡行して、霞沢岳を目指してみることにした。今回は久しぶりのひとり登山。静かな山登りが楽しめると思いきや?!
【10月12日】
朝発で到着予定は夜明けの5時半を目指して自宅を出発したが、眠気と前日の麻辣麺でおなかの調子が悪く、新島々駅近くのセブンイレブンに到着したのは1時間遅れで6時半を過ぎていた。
朝食をとって、登山口へ。ゲート手前の隅に駐車して出発。南沢の出合まで1時間半ほど林道を歩いて、南沢出合のすぐ上の堰堤を越えて入渓した。対岸に河原があるので、まずは渡渉。意外と水量があって、股間まで浸かり、あまりの冷たさに萎えてしまった。
少し河原を歩いたが、やはり沢登りの気持ちにならず、沢登りはやめて登山道にあがった。適当なところでまた入渓しようと沢を見ながら歩いていたが、岩魚留小屋跡についてしまった。ここでテントを張って一晩過ごす予定だが、まだ午前中。暇つぶしに焚火をするにも小屋周辺には薪がないので、南沢に薪がないかと戻って探すが見つからない。
岩魚留小屋に戻ると、20mほど先の登山道に何か動くものが。サルだ。「コラ!」と追い払おうとするが、全く逃げない。それどころか更に数匹現れ、集団でどんどん近づいてくる。ここでは幕は張れないと、先に進むことにした。
徳本峠まで行く時間は十分あるが、予約をしていない。最近のアルプスのキャンプ場は予約が必要とのこと。しかも高額な使用料。以前は数100円で予約なしで泊まれたのに、面倒なことになったものだ。徳本峠までの間に良さそうな幕場はないかと探して歩いていると、ムキタケ、ブナハリが見つかった。徳本峠は水場がないこともあり、今回の食事は汁物の用意はないため、汁物に合うムキタケは帰りのお土産に残し、ブナハリを少し頂いた。
40分ほど歩くと左岸に整地すれば良さそうな場所を発見。そこを今夜の宿とした。テントを張って、焚火場の河原迄の道づくり、薪集めが終わったところでポツポツと雨が降ってきたので、テントに逃げ込むとスコールのような豪雨となった。しばらくするとテントをたたく雨粒の音が静かになったので、外を見ると青空が見えていた。気を取り直し、焚火をスタートするが、なかなか火が大きくならない。オキは出来ていて、仰ぐと炎はあがるが、すぐにオキとなってしまう。一杯やっては仰ぎ、また一杯を繰り返していたが、一向に火は大きくならず、暗くなってきたので、焚火は諦めてテントに戻り、ブナハリのバター醤油炒めで一杯やりながら、ひとりのんびりテントで過ごした。
【10月13日】
翌朝は日の出の5時半スタートの予定で、いつも通り出発2時間前の3時半に起きて準備するが、一人だと1時間で朝の準備が終わってしまい、明るくなるのを待って出発。徳本峠までの最後の九十九折りの登りの手前で水を汲んで、徳本峠を目指す。8時に到着。テント場は一杯で、隅の薄暗いところだけ空いており、そこにテントを張って8時半に霞沢岳に向かってスタート。
すでにテント泊の人たちは出発しているので、静かな山登りが出来ると思っていたら、少し先に男女の二人組がぺちゃくちゃ大声で話していた。騒がしいので、抜かして先を急ごうとするが、なかなか追いつけない。ようやく追いついたと思ったら、止まって景色を見ていた。
40代くらいの男に30代の美女だった。「お先に」と一声かけて先を急ぐと、すぐに自分の後をぴたりと着いてきて、またぺちゃくちゃ話している。ペースを上げるが、ぴたりと着いてきて、ぺちゃくちゃ。男が美女の気を引こうと一生懸命話している。女性もまんざらでもないようで、良い反応。高倉健のように無口で不器用な自分には出来ない会話だ。引き離すのが無理なら先に行ってもらって間を空ける作戦に出る。ちょっと座り心地の良い倒木があったので、そこで小休止して、ふたりを先に行かせた。少し時間を空けて出発するが、少し行くと、紅葉が美しい場所があり、そこで写真を撮っているではないか。先に行く気配がないので、仕方なく、自分も写真を撮って、すぐに先に進むとK1手前の急登に着いた。
上から朝早く出発した人がちらほら降りてきて、順番待ちとなり、またすぐ後ろに男女カップルが追い付いてきた。K1までの急な登りでもぺちゃくちゃ聞こえる。K1に到着すると山頂に向かった人のザックがたくさんデポされてあった。一休みしていると、山頂から集団が戻ってきて大賑わいとなった。
雲が薄っすらかかった穂高連峰が眼前に広がり、少し遠くの右には常念岳、左には笠ヶ岳が見える。素晴らしい眺めだったこともあり、皆興奮気味に騒いでいた。少し皆とおしゃべりして、山頂に向けて出発すると、やはり例の男女もすぐあとから出発してきた。
山頂までの稜線は、右側に焼岳がきれいに見える。2018年に焼岳の下堀沢をスキーで滑ったのだが、無雪期の下堀沢を見たのは初めてで、想像以上に大きく崩壊した沢で驚いた。山頂に着くとすぐに例の男女も到着。お互いに写真を撮って、自分だけ先に下山するが、しばらくするとまた後ろからぺちゃくちゃ聞こえる。下るので、声が余計に聞こえるのだろう。マイペースで下っていたつもりだったが、ふたりと離れたいという気持ちが強かったのだろう。ハイペースになったのか、右アキレス腱が痛くなり、徳本峠に着く頃はちょっと足を引きずっていた。
徳本峠に着くとまたテントだらけ。朝よりも多かった。10張までという話だったが、それ以上張られていた。穂高がよく見える場所で一杯やりながらくつろいでいると夕焼けの時間帯になると、皆テントから出てきて、眼前に広がる赤く染まった穂高を眺めながら仲間同士ワイワイ騒ぎ出した。例の男女はテントから出てこない。テントの中でふたりで一体何をしているんだとモヤモヤした気持ちとなり、酒が妙に進んでしまった。
【10月14日】
翌朝はゆっくり6時に幕場を出発。右のアキレス腱の痛みとキノコ狩りでだいぶ遅く岩魚留小屋についた。岩魚留小屋から先は特に何も収穫がなく、下山した。下山後は、竜島温泉せせらぎの湯でひと風呂浴びて帰路に就いた。
久しぶりのソロでの山登りだった。自分のペースで歩けると思ったら、気になるカップルのお陰でペースを乱されることに。ま、これも今となっては楽しい思い出になりました。
【10月12日】 | ゲート(7:00) → 南沢出合(8:45) → 岩魚留小屋跡(11:30~12:00) → 幕場(12:45) |
【10月13日】 | 幕場(6:00) → 徳本峠(8:00~8:30) → K1(11:20) → 霞沢岳山頂(12:15~12:25) → K1(13:00) → 徳本峠(16:50) |
【10月14日】 | 徳本峠(6:00) → 岩魚留小屋跡(9:00) → ゲート(13:00) |