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縦走・無雪期のニセコオートルートをゆく
~動植物を求めて~
大瀧 美樹

山行日 2024年7月13日~15日
メンバー (L)大瀧、菊池、飯塚、渡辺(智)

 山スキーチーム内で山スキーでのニセコオートルートの計画が話題に上ったため、色々調べていくうちに湿原の素晴らしさや景色の美しさから無雪期にも行ってみたいと思い計画を立てることにした。どうせ行くなら花が咲き誇る時期や生物が活発に動いている時期にいきたいなと思い7月の海の日連休に行くことにした。ちなみに、パンケメクンナイ湿原には固有種であるエゾサンショウウオやエゾアカガエルがいるらしい。生息数が減っているため、生物好きとしては見ておきたい。
 7月12日に新千歳空港に集合し、その日は電車で移動しつつ小樽や倶知安を観光しながらのんびりと次の日に備えた。

【7月13日】
 路線バスにてひらふウェルカムセンターに向かった。7月の北海道は関東よりはましだが歩き出すと汗が噴き出してくる。快晴で真っ青な空が続き景色は最高!お目当ての植物も高度を上げるにつれどんどん種類が増えていく。暑さでひーひー言いながらニセコアンヌプリに到着。目の前に羊蹄山が広がり疲れが吹き飛ぶ。
 その後、天国のように快適な芝生に覆われた五色温泉野営場に到着。ポカポカ陽気の中しばらく芝生に寝転がり昼寝をした後、五色温泉で硫黄泉を堪能。体に沁みる・・・。その日は快適な寝床を得て気持ちよく爆睡し初日が終了した。

羊蹄山の美しい姿。さすが蝦夷富士!

【7月14日】
 前日の暑さから出発時間を少し早めてスタートした。五色温泉野営場以降は水場がないため、一人4~6リットルの水を担ぐ。イワオヌプリ(砂岩に覆われところどころ硫黄の結晶がある)、ニトヌプリ(山頂からは自分達の歩いてきたルートが綺麗に見える)、チセヌプリ(登頂までに沢山の花を楽しめる)と順調に進む。今日も順調だな~と思いきや、ここからが長かった・・・。休憩中、陽子さんが持参した西表島の塩をみんなで舐める。塩がうまい!
 途中シャクナゲ沼に咲き誇るヒオウギアヤメに癒されつつ白樺山に到着
 山頂の岩場で広大な景色を眺めた後、今夜のテン泊地である新見峠に向かった。新見峠にはアスファルトの駐車場が広がっており赤い三角屋根のトイレもある(写真で見たイメージとは異なり掃除もされていて綺麗)。今宵も快適そうだな~と思ったら、アスファルトが熱せられてテント内は暑く外に出ると蚊に刺される。気温が下がるのを待ち、この日も気持ちよく眠りについた。

ヒオウギアヤメが咲くシャクナゲ沼

【7月15日】
 3日目も快晴予報のため出発時間を早めてスタートした。目国内岳に登る途中で振り返ると、羊蹄山、ニセコアンヌプリ、イワオヌプリ、ニトヌプリ、チセヌプリ、白樺山と登ってきた山々がすべて見える北海道らしい景色が広がっていた。
 目国内岳で絶景を堪能した後、ガサガサと藪をかき分け1時間強進むと今回のハイライトであるパンケメクンナイ湿原が目の前に広がる(パンケメクンナイ湿原は水が湧き出ている箇所があるため、水を確保することができた)。固有生物であるエゾサンショウウオを探すも見つけられなかったが、花がいたるところに咲き乱れている。みんなでお花畑をキャーキャー感激しながら歩き、最後の山である岩内岳を登った。岩内岳山頂からは岩内の町や海が一望でき感慨深いものがあった。
 どんどん気温が上がる中、登山口を目指して下山した。
 下山後はいわない温泉サンサンの湯でさっぱりした後、乗合バスで町に向かい地元のお寿司屋でウニやイクラの海鮮丼を堪能。その後高速バスで札幌に向かい無事山行を終えた。

【山行中出逢った花々】62種(智世さん調べていただきありがとうございました!)
 ブタナ、シロツメクサ、アカツメクサ、コウリンタンポポ、タカネニガナ、シロバナニガナ、ムカゴトラノオ、シナノオトギリ、イワオトギリ、ハイオトギリ、エゾカンゾウ、エゾノマルバシモツケ、マルバシモツケ、エゾシオガマ、タニギキョウ、ツバメオモト(実)、ヤマハハコ、ヤマブキショウマ、トリアシショウマ、オニシモツケ、ミヤマホツツジ、ミヤマトウバナ、ヨツバムグラ、チシマフウロ、ハクサンボウフウ、サンカヨウ(実)、アカモノ、コケモモ、ヒヨドリソウ、ヨツバヒヨドリ、アカバナイチヤクソウ、エンレイソウ(実)、ミヤマアキノキリンソウ、ノウゴウイチゴ(実)、タチギボウシ、ギョウジャニンニク、チングルマ、シナノキンバイ、クルマユリ、ヒオウギアヤメ、ワタスゲ(実)、カンスゲ、イワイチョウ、モウセンゴケ、ホソバノキソチドリ、ギンリョウソウ、ミヤマアズマギク、タカネナデシコ、ミヤマガマズミ、ゴゼンタチバナ、マイヅルソウ、カラマツソウ、コバイケイソウ、ヤグルマソウ、ズダヤクシュ、ウツボグサ、ヤナギラン、ウバユリ、ナナカマド、チシマアザミ、ヤマアジサイ、ツルアジサ

振り返ると登ってきた山々が連なって見える岩内岳山頂で最後の記念撮影!
〈コースタイム〉
【7月13日】 ひらふウェルカムセンター(8:45) → ニセコアンヌプリ(12:45) → ニセコ五色温泉野営場(泊)(14:40)
【7月14日】 ニセコ五色温泉野営場(5:20) → イワオヌプリ(6:50) → ニトヌプリ(9:20) → チセヌプリ(12:10) → ビーナスの丘(14:10) → シャクナゲ岳分岐(14:15) → 白樺山(16:40)~新見峠(泊)(17:15)
【7月15日】 新見峠(4:00) → 前目国内岳(4:45) → 目国内岳(6:50) → パンケメクンナイ湿原(8:10) → 岩内岳(9:40) → 岩内岳登山口(11:50)

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