山行日 2025年3月8日~9日
メンバー (L)荻原、川口(修)、永岡、清水
2019年のゴールデンウィークは悪天による停滞日も含め、計7日間かけて巻機山~尾瀬までの奥利根源流山域を縦走した。その際に牛ヶ岳から眼下に見下ろしたブサノ裏沢源頭の明るくて広大な斜面を見て、「あー、ここを滑りてぇー!」と強く思ったが、スキー板も無いし降りたところで遥か先の尾瀬には辿り着かない。「いつの日かお前に会いにまた戻って来るぞー!」と声を掛けてから丸5年。いい男は約束を守るのだ?
【3月8日】終日晴れ時々霧
そしてその日はついにやってきた。テントと食料と燃料の入った重荷を背負っていつもの井戸尾根をテクテク登る。
巻機山の稜線に出ると随分と風が強く体力を奪われる。牛ヶ岳に移動して早々に滑降の準備をすると、眼の下には5年前と同じ広大な斜面が広がっている。いや、その時よりは空も斜面も(ガスで)白いような気がするが、気のせいということにしておこう!ガスが切れるタイミングを見ながら滑降と待機を繰り返しながら降りていく。雪質は重パウというところか。たまにアイスバーンが混じり、そのうちモナカ状になってくるので決して易しい雪質ではないが、それでも山深く人気の全くない広大な沢地形を滑っていくロケーションは筆舌に尽くし難い。標高もだいぶ下がり、モナカ率が70%を超えてきたところで下トンボ沢出合の独標1010m二俣の少し上に到着。雪崩リスクの低い素敵な幕場を見つけたので、ここを本日のスイートルームに決め込む。奥利根山域にどっぷり浸かった我々だけの夜の宴は最高でした。
【3月9日】終日雪と霧
事前の天気予報に反して今日は朝から雪、それも結構降っている。それでも出発する頃には小降りになり、今後の天気回復を期待して出発する。幕場から南西に延びる沢地形を登り、標高1200mあたりでトトンボ尾根の支尾根に乗ろうとするが、雪庇が発達していてとてもスキーでは上がれない。スキーを脱いで空身になり雪庇を崩してなんとか這い上がる。後続にはロープを出す。その後はシール歩行となるが、アイスバーン状のところもありクトーを付けて慎重に標高を上げていく。独標1478mの北尾根に乗る箇所も雪庇が発達していたが、ここは上手く弱点をついてシールのまま乗り上げる。あとは緩やかな尾根登りとなり独標1478mでトトンボ尾根に合流、更にもうひと頑張りで米子頭山の山頂に立つ。
稜線に出ると風はますます強く、風雪の稜線歩行となる。シュカブラが凄くてシートラで行くが、踏み抜きに加えて背中のスキーが強風で煽られるのでなかなか進まない。それでも稜線を南下し、小ピークを越えてコルに辿り着くと深沢のエントリーポイントとなる。視界がほとんど効かないことに加えて、シュカブラと岩場だらけで、こんなところどうやって滑るのよ?って感じだったが、もたもたしていると全員凍傷になってしまうので、意を決してシートラのまま稜線から急斜面を下降。標高にして10-20mも下ると風もだいぶ収まり新雪が溜まり始めて来たので、なんとかスキー滑降の目途が立つ。各自でスキー準備の場所を確保して、さぁー、いよいよ深沢滑降の始まりです!ガスの切れる僅かなタイミングでの滑降を繋ぎ合わせて降りる形なので豪快な滑りとは行かないが、下るにつれてガスの切れる時間も長くなり、気持ちの良いクルージングとなる。でもちょっと重めの雪で油断するとスキーを持って行かれるので、なんでもないところで皆良く転んでいたような気もする。しかしこの深沢はデカイ!しかもやっぱりここも人の気配がほとんど無い!この山域はポテンシャルが高いね。あっと言う間に米子沢のトレースと合流し、あとはただ立っているだけで西谷後バス停の駐車場まで連れて行ってくれる。
【3月8日】 | 西谷後バス停(8:00) → 巻機山(14:00) → 独標1010m二俣の西方標高1030m(幕場)(16:00) |
【3月9日】 | 幕場(6:45) → 米子頭山(11:00) → 西谷後バス停(14:00) |