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沢登り・東黒沢~ウツボギ沢
篠山 良太

山行日 2025年6月28日~29日
メンバー (L)川口(修)、田中(聖)、吉川、篠山

 三峰山岳会に入会して早1年。昨年度はクライミングをメインに活動したが今年度は沢登りを増やしたい、そしてまだ一緒に山行に行ったことが無い人と親交を深めたいという密かな目標があり、川口さんの東黒沢・ウツボギ沢例会に参加させてもらった。
初夏を思わせる爽やかな晴天  道の駅みなかみ水紀行館で前泊した。予定よりもだいぶ早く野鳥の鳴き声に起こされたので、ひとりで道の駅をうろうろと徘徊する。ファミマで朝食を取り、白毛門の駐車場からいざ出発。登山道からすぐ脇道に入り最初の堰堤を越えたところから東黒沢に入渓した。梅雨真っ只中だがこの2日間は快晴の予報。気温も水温もちょうど良く、新緑と水面が太陽の光でキラキラと輝いている。まさに絶好の沢日和だ。
 東黒沢はひたすらナメと小滝が続く快適な沢である。順調に歩いていくとすぐに東黒沢一番の巨大なハナゲの滝が現れ思わず声を上げる。迫力ある見た目の割に左右はホールドが豊富でどちらからでも登れそうだ。我々は右岸から取り付き終盤は左に捲く。ハナゲの滝を越えて白毛門沢との出合いを右に進むと、その後も延々と美しいナメ歩きが続く。滝もせいぜい2~3mの高さなので緊張するような場所もない。しかし進むにつれて段々とヌメりが強くなってくる。フェルトのメンバーの足取りは軽いが、唯一ラバーだった自分は一歩一歩気を遣いながら歩いた。
ハナゲの滝  もうお腹一杯というほどナメを歩くと段々と沢が狭まってきて詰めの雰囲気。沢が枯れ美しい森の丸山の尾根を越えると今度はウツボギ沢への下降が始まる。降りは登るより神経を使うがやはりそこまでの難易度はない。しかし一箇所死ぬほど黒光りした小滝があり、安全を考えて懸垂で降りる。ほどなくしてウツボギ沢と宝川の合流に到着。ここは広い河原となっており空が開けた気持ちの良い場所である。ここで獲物を目視した川口さんが素早く竿を出すも残念ながら当たりはなかった。
 宝川を渡渉して1段上がったところを幕場として焚き火の準備。夕食は聖さんが用意してくれた牛豚羊の豪華な串焼きだ。ところが塊肉を串に刺しているところで聖さんが「調味料忘れたー!」と言うではないか。すぐさま川口さんは某ネコ型ロボットのポケットよろしくザックから塩やらミックススパイスやらを出してきた。なんという頼れるリーダーだろう。無事に調味料を身にまとった直火串焼きの味は言うまでもない。デザートに焼きマシュマロを食べながら静かに夜は更けていった。
豪快に直火焼き  翌朝はゆっくり準備してウツボギ沢に入渓。前日の東黒沢より心なしか水が冷たい。遡行開始からいきなり長大な雪渓が登場して大きく高巻きを余儀なくされる。汗だくで急登をこなして道なき道をトラバース、ある程度進んだところで下降して沢に復帰した。沢が見えないほど高巻いていたが、かすかな沢音を感じて下降ポイントを決めたという川口リーダーの見事なルーファイはとても勉強になった。
 沢復帰後はナメと小滝の癒し沢登りを再開、ウツボギ沢も前日の東黒沢と同じような歩きやすい沢だ。しかし雪渓がまだかなり残っており、時折雪渓のトンネルをくぐったり、上を歩いたりして高度を稼いでいく。
 標高1,400mぐらいからはほぼ雪に埋まっており雪渓登りとなった。太陽がギラギラと照りつける斜面をひたすら無言で登っていく。眩しくて目がチカチカする。あーグラサンを持ってくればよかった。最後の枝沢の詰めは笹藪を掴みながら雪渓を踏み抜かないように慎重に登る。途中チェンスパが外れる者、それに気づいた後続が拾うも自分のチェンスパもいつのまにか外れてどっか行っちゃった、というコントのような出来事もありつつ、最後は猛烈な藪をかき分けて白毛門と笠ヶ岳の中間の登山道に飛び出た。眼下には登ってきたルートが一望できる。なんとも言えぬ爽快感である。そして疲れた体には少々うんざりするような長い下山をこなして全員無事に帰還した。
稜線まであと少し  風呂の前に寄り道したファミマで出発前と同じようにコーヒーを飲んでいる時にたった1日半なのに随分と久しぶりに感じたのは、今回の山行が単調な沢登りだけでは終わらない充実したものだったからだろう。頼りになる川口さんといつも明るく楽しい聖さん。今年入会したばかりのりおちゃんは全行程で安定した動きをしておりこれから伸びていくだろうと思う子であった。素晴らしいメンバーと素晴らしい沢。いつかまた訪れたい場所が一つ増えた。

〈コースタイム〉
【6月28日】 白毛門登山口(6:30) → ハナゲの滝(7:30) → 鞍部(13:00) → 広河原(幕)(15:00)
【6月29日】 幕場(7:00) → 沢復帰(9:30) → 雪渓(12:00) → 登山道(14:00) → 白毛門登山口(18:00)

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