山行日 1964年4月19日
メンバー 牧野
当日から臨時運転となったガラガラの「雲取号」に乗って上野発。奥秩父シリーズと銘打って、その第1回の山行であったが参加者がなく、『笛吹けど踊らず』の感を深くした。バス、ケーブルと乗り継いで真夜中の深閑とした三峯神社に立つ。後続の者はケーブルの駅で休んでいるのだろうか。一人身になってみると静寂が重くのしかかる。息の詰まりそうな静けさを払うため、遮二無二進む。ライトだけが頼りの道を神社から1時間で地蔵峠に着く。小休止の後、暗闇に追い立てられるように白岩山目指す。前白岩の意外に長い急な道に大汗をかいて白岩小屋着。休む間もなく歩き続け、白岩山を何の苦もなく越し、森林地帯を過ぎて雲取小屋着(3:50)。一人身の気軽さから思い切り飛ばしてしまったが、さすがに睡魔には勝てずにダウン。ここでぐっすり4時間ほど寝る。爽やかな朝を迎えて小屋を出発(7:00)。展望の利かない山頂を越え、下の草付きで寝転がって休む。空模様が気にかかるが、鴨沢へ下る予定だったが、石尾根を氷川まで強行することにし早々に出発。ポツポツ降ってきた中を急行で七ツ石を通過、ほとんど平坦な道を鷹ノ巣山の避難小屋まで駆け足。腹ごしらえをして、相変わらず嫌な天気の中をのんびりと歌を歌いながら歩を進め、六ツ石を通過。遠くに聞こえる電車の音を目指して、一目散に駆け下る。菜の花のプロムナードも人里でがっかり。舗装道路をしばらく歩いて氷川駅着(12:15)。三峯神社から雲取山まで3時間、雲取から氷川まで4時間と、とてつもなく早く降りてきてしまった。1ピッチが2時間という行程にさすがに脚が痛む。