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仙ノ倉山
小池 泰雄

山行日 1966年3月27日
メンバー (L)山本(敬)、小島、原口、後藤、小池

 例によって例の如く上野駅のエレベーター前に集合。勿論時刻通りに集まる訳がない。それでもなんとか22時03分発の秋田行(三峰上越号?)の三等寝台席に収まってウツラウツラしていると、例のヤツがやって来る。「乗車券をハイケン」全くマンネリも良いとこだネ。
 さて本日は平標山までスキーで登ろうという訳だったが、諸々の条件からスキーは土樽山荘に預け(勝手に置いて行ったんじゃねえか!)真暗な雪道を黙々と歩く。空が明るくなりかかる頃やっと群大ヒュッテに到着。
 「ヒュッテというのはブッ壊れた物置小屋のことをいうのかな?やっぱり」「傾いているのは値切ったんだな、きっと」等とクダらないことを考えながら朝メシにする。朝食のメニューは原口主任調理士持参の赤飯のニギリメシと串カツ。「コイツには泣けたね」天気の方は無風快晴とまではいかないが、まずまずというところで万太郎の稜線が美しく、雨男諸氏大いに気を良くする。登るにしたがって段々雪が深くなり、森林帯にかかる頃にはとうとう今年のトップモード、ヒザ上10センチのラッセルとなる。こうなると流行の先端を行くのも楽じゃないね。苦労してやっと尾根へ出てアイゼンを付けるが、この頃から山敬氏、足の痛みがひどくなったため登頂を断念し、残り4名で登る。平標山の一つ手前のピークにかかる辺からは雪面はウインドクラストしてアイゼンの歯が快適に食い込み、壮快な登りとなる。平標山到着午後1時15分。仙ノ倉から平標山一帯の斜面は雄大そのもので、これが谷川連峰の一角とは一寸思えない程だ。全員思わず「ウワー、イイジャナアイ」ここまで来れば仙ノ倉山は目前だが大分登りに時間を食ったので、勇気を出して満場一致のもとに早々下山となる。途中群大ヒュッテ付近にて山敬氏と合流。辺りが薄暗くなる頃ようやく土樽駅に帰り着く。行動約14時間。某氏曰く「これだけ残業やって一文にもならないんだから、全ぐ山ヤっていうヤツは物好きだね」
 最後に一言、「バテたァー!」


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