私が入会した頃は一般と技術研究部とに分かれていた。岡野さんに技研の入部手続きを取り、最初の山行が三ツ峠岩場練習だった(あの時のメンバー大分すくなくなった)。暗い夜道を12月上旬、耐寒訓練とやらシャツ1枚で歩かされたものだ。
岩場では今まで一度も経験したことのないことを、手を取るように教わり一人前のクライマーになれるんだ、という気持ちが湧き無性に嬉しかった。
ボッカ訓練、重荷に対する必死の抵抗が続く。忍耐、闘志、歯を食いしばって如何なる苦しみにも耐えることこそ、アルピニストに最初に要求される条件なのは分かっているはずなのだが、何せ体がいうことをきかん。ロープウェイの駅でキスリングから石を取り出すのに、今は亡き山越君に手伝ってもらったほどの完全なグロッキーだった。
変な文になってしまったが、私としてはこの山行も思い出多い山として忘れることのできない一つだ。