山行日 1983年4月16日~17日
メンバー (L)中村、古矢、国行
信濃大町に列車は5時に着く。昨日から雨が降り続き、どうも今回の山行は雨にたたられそうだ、そんな思いの中、タクシーに乗り込み七倉沢に向う。小屋の中で朝食を済ませ、しっかりと雨具を着て出発。6時30分。
今回のメンバーはリーダー中村氏、古矢さん、そして僕の三人のこじんまりしたパーティである。中村氏からこの船窪の話をよく聞いており気になっていた山の一つで、丁度いいチャンスに恵まれての山行である。
七倉沢を右手に見てすぐ樹林帯に入るが頂上までこの樹林帯は続き、それだけに上に出た時が楽しみである。1時間程ルートを歩いていたのだが、いつの間にか外れてしまい、尾根道に取り付こうということで直登することにする。3時間程歩いていささか疲れ気味の中で小休止、中村氏がザックを置いて単身で偵察に行く、リーダーは偉い、20分程して戻ってきた。思ったより南側によっており尾根が確認できたので一同ホッとする。15分で尾根に取り付くことができた。
予定より大幅に遅れているので休まず前進する。相変わらず小雨が降り続く、雪は膝上まであるが傾斜が緩いのでスイスイと進められる。いつもこうだといいのだが。
目標の大きい岩が見えてきて、岩の下を巻き1時間程で上に出る。景色は先程よりも木立が上がり鬱蒼としている。途中でお茶など沸かして飲んだりしていたので12時を過ぎる。今日はどこまで行けるのかなと思っているとすぐに出発。たまに木立の中からガスの切れかかった峰々が見えると疲れも飛んでしまう。時間も大分過ぎたので幕場を捜す。いい場所があったのでツェルトを張ることにする。2時40分、しかしツェルトを持ってきて良かった。始めは二人だったので小屋泊りなので用意しなかったが、急遽三人になったので持って来たのである。雪庇に気をつけながらガスの切れかかった峰々にシャッターを切る。
時間が充分あるので空身で「昇付八丁」まで行くことにする。30分程で着き、4時になったので天気予報を聞く。明日は曇り時々晴れ、天気が良ければ頂上で槍が見えるかも知れない。ツェルトのところへ戻ってくる頃に激しく雨が降ってきた。中へ入れば天国である。山での楽しみは何と言っても食事の時である。アルコールが入り会話も一層弾む。まして三人だとじっくり話し込める。酔いも回って、明日の天気を願いつつ寝ることにする。
翌朝4時起床、雨はまだ降り続いている。リーダーの判断で下山と決まる。下りは行きと大違いでランラン、少し急斜面はトラバースしたりして、あっという間に七倉沢の小屋に到着。温泉に浸かり、なお時間に余裕があるので穂高町に出て、碌山美術館やワサビ畑見学としゃれこむ。雨にたたかれっぱなしの山行なのに妙に満足感があった。今度は是非ピークを踏みたいと思っています。