山行日 1983年9月23日~25日
メンバー (L)伊藤、増田、高橋(千)
9月22日、新宿駅を発ち日野春駅に下車。駅で7時頃まで仮眠し、竹宇駒ヶ岳神社へタクシーで向った。
時間に余裕のある私達は、お茶を沸かしてのんびり、それを横目に黄蓮谷パーティは、先に五合目を目指して出発する。8時30分、荷物をまとめ、靴紐を締めて、黒戸尾根隊いざ出発。増田さん先頭にゆっくり登る。カユモチ石で一本にしようということだが、なかなか現れない。そろそろという気持ちとは反対に、水場まで30分の文字を見てがっかり、とうとう水場にさしかからないうちに一本とってしまった。伊藤さんの調子が悪い。私の後からゲーゲーと言いながら登ってくる。気持ちが悪そうだ。胃薬を飲んだが、胸やけがすると言う。その後伊藤さんは胃薬からカゼ薬までくすり漬けになってしまった。
笹ノ平10時55分。赤石沢パーティが地面に書いた、モートー三峰の文字が、集中登山を思い起こさせる。今日の天気は晴れのち曇り、お山はガスの中雑木林の中、登山道の脇のきのこに秋を感じながら、一歩一歩登る。何ともないと話していた刃渡りを、手をつきながら通過。12時30分。牛に似ているという牛石の背をなでて、五合目着1時45分。今日はここにテントを張る。いつのまにか天気が悪くなり雨が落ちてきた。急いでテントを張り、五合目小屋から買ったビールでカンパイ。夕食のメニューは、クリームシチューにサラダ。食事中も手離さないお酒を食後ゆっくり横になって飲もうということだが、5時三人の目は、西の彼方へ沈んでいた。
24日、12時間寝た私達の頭は快晴だが、天気がぐずついている。今日は雨。雨具を身に着けて、8時25分五合目出発。登り始めてから梯子の連続、岩場、鎖場と登ってきたが、明日はここを下りられるか心配になる。
七合目着9時20分。雨は益々強くなる。今日の宿は八合目にしようか九合目にしようか迷いながら、七合目小屋でお湯を沸かして様子を見る。小1時間休んだ私達は、小降りになった中を出発。もう周りはハイマツになっている。展望がいいはずなのに、近くの嶺さえよく見えない。八合目着11時。雨の中をモクモクと登る。昨日車中で別れた北沢峠パーティと会えることを楽しみに、九合目へと向う。益々ガスが濃くなり、周りは何も見えない。九合目着12時5分。
祠の前にテントを張り、今日はミルクティーでカンパイ。と思う間もなく、コップの中はお酒に変わっていた。モートーの声に顔を出すと、黄蓮谷パーティは雨のため登ることをあきらめ五合目に戻り、八合目に今日は泊まると登ってきた佐藤さんと吉岡さんが話す。長く居ると八合目に戻るのがいやになるからと、いそいそ帰っていった。足音がするたびに、声を出してみるが反応はない。北沢峠パーティは登るのをあきらめたのだろうか。
腰が痛くなるほどテントの中にいる時間が長いが、充分睡眠をとった私達は、今夜はトランプに熱中する。9時過ぎ消灯、テントが曲がるほどの強風に、目を覚まして九合目に寝ていることをうつろに思い出しながら、朝を迎えた。
25日、雨は降っていないがガスが濃く、今日も展望は期待できない。外に出た伊藤さんが、雷鳥がいるから出てこい大声を出しているが、私の靴を伊藤さんが履いているのに気がつき、私はテントの中で小さい声で「行けないョー」。
ガスで頂上はどこかわからなかったが、登ってみたら4~5分で着いてしまった。ここが2966mの頂上か、ンー感じが出ない。八合目に泊まっていた黄蓮谷パーティが登ってきた。10時まで他の人達を待ったが、合流をあきらめて、下山にかかった。雨が降り出した。八合目で赤石沢パーティと合流。一緒に下山するが、いつの間にか姿は見えなくなっていた。大雨の中を滑らないように気を配りながら下山する。牛石から笹ノ平までの道が、大雨のため川になっている。笹ノ平着1時30分。横手へと下山する。雨は小降りになってきた。見晴し台から見た八ヶ岳は今回の山行一番の展望だった。駒ヶ岳神社着3時。ずぶ濡れになり、お腹もすいてきた私達は、温泉へとタクシーを走らせた。
時間に余裕のある山行なので、駒ヶ岳山頂を堪能しようと思っていたが、あいにくの天気で、非常に残念でした。また機会があったら登ってみたいと思います。