山行日　1991年8月2日～4日
メンバー　(L)菅原、飯島

　8月1日(木)
　府中で飯島氏と待合せし、21時すぎに府中を立つ。3時間位で広河原に到着、ここで寝る事にする。

　8月2日(金) 晴れのち曇り
　さすがに広河原は、多くの登山客で賑わいをみせている。我々も早々食事をして７時に出発する。天気は晴れているが北岳に丁度雲がかかり姿が見えない。長蛇の列になっている大樺沢を身軽な飯島氏がガンガン飛ばしながら抜いていく。 10時に今回のベース、白根御池に着き早々テント設置をしていると、何やら警察官が我々の近くで現場検証を始めた。どうやら強風で老木が倒れ近くのテントを直撃し、怪我人がでたようだ。
　ザックに登攀具を詰めこみ、また大樺沢にでてCガリーヘと向うが少々バテ気味になってしまう。Cガリー大滝の基部でハーネスをセットして、 1ピッチ目を飯島氏がトップで取付く。少々細かいフェースを真上に登り、25メートル位でテラスに着く。どうやらここがCガリー大滝の正規の取付点である。我々は一段下から登ってしまったようだ。2ピッチ目は、凹角の中少々丸くなったホールドに気をつけ30メートルでたよりないハーケンでビレーを取る。3ピッチ目は草付きを直上してハング下を左ヘトラバース、中央のバンドよりフェースのクラックを右上すると、5～6本ハーケンが打たれているテラスに上る。4ピッチ目は、右に少々トラバースをしてフェースを右上してブッシュ帯に入り、登攀終了。下降は、横断バンドに出て途中2回の懸垂でAガリーに出て岩屑だらけの中慎重に下る。白根御池に着くころにはヨレヨレになり、早目にシュラフにもぐりこむ。

　8月3日(土) 晴れのち小雨のち曇り
　今日は、バットレスの中ではけっこう長いルートで、ピラミッドフェースより四尾根に出る全行程15ピッチの好ルートである。まだ日があたらない為、大樺沢の登りも昨日より楽で足どりも軽い。
　取付きに付くころに太陽も顔を出し、岩場も明るい。先行パーティーも登り始め、時間待ちなしで我々もとっつく。つるべでルート図通り4ピッチ登ると横断バンドに這上がる。この上は、終了点までクラックとフェースが続く6ピッチの快適な岩で、 ハーケンも連打されているのでグイグイと飯島氏はザイルを伸ばす。以前ここを登山靴で登り、かなりシビアだったのを覚えている。四尾根の白い岩下にでてピラミッドフェースは終わり、ここから何回も登った四尾根を白い岩、5メートルの垂壁と3ピッチ登り、マッチ箱のコルにアップザイレンをする。ここには以前6～7人位ビバークできるスペースがあったが、数年前に崩壊してしまい自然の力のすごさを見せつけられた。でもなくなってしまい残念だ。ガスの中クラックとリッジの2ピッチを登って四尾根を終了する。踏み跡を5分位たどると縦走路に飛びだし、右へ少々登ると人で賑わっている北岳山頂に出る。小雨が降りだしてきたので早々に下山し、頭の中でビール、ビールと唱えながら草すべりをする。

　8月4日(日) 晴れ
　最終日の今日は、Dガリー大滝を登りDガリーをつめてDガリー奥壁そして城塞ハングを越えるといった非常に明るいルートだ。昨日より早く白根御池をたち、爽やかな空気の中大樺沢よりD大沢に入り、Dガリー大滝の取付に向かう。Dガリー大滝は、3ピッチでスラブと凹角、草付で構成され容易に横断バンドに上がれる。
　快晴の中素早く登攀具を身に付け登り始める。45分位でなんなく大滝を登り、草付混じりのDガリーを容易なところを選んで上へ上へと登ると、奥壁の取付であるハング下のテラスに達する。ここで腰をおろし、のどかな雰囲気と展望を楽しむうちにうとうととしてしまった。
　Dガリー奥壁は、出だしのハングを越え、スラブと快適なクラックそして城塞ハングヘと続く全体で5ピッチのルートです。以前は登山靴の為出だしのハングはアブミを使用して越えていたが、飯島氏がトップで取付きノーアブミで乗越してガッツある素晴しいムーブを見せてくれた。2ピッチ3ピッチ4ピッチとスラブ登りをウキウキ楽しみながらザイルを伸ばす。
　城塞ハングは、 ハングとゆうより少々前傾したフェースでハーケンが連打してある。最近はフリーでも登られていることだけど、我々はアブミで行く事にする。アブミ乗りの名人飯島氏にトップをお願いしパワフルで絶妙なかけかえで登って行く。10時30分に登攀終了し、登山客で賑わっている八本歯より大樺沢を下降して白根御池に戻った。 一服してからテントを撤収し、かなりの人でにぎわった白根御池をあとにし、充実した山行に満足しながら広河原へと下った。