山行日　2005年3月12日～13日
メンバー　(L)荻原、越前屋

　今回は雪山・雪稜の企画山行であったが若干寂しい人数となった。雪稜の場合一度の参加人数があまり多くても困るが、このような形態の山行回数の増加と新しいメンバーの増加を目標として継続して例会及び企画山行とういう形で今後も出していきたい。

(3/11･12)
　金曜夜に八王子に集合して翌日未明に美しの森駐車場に到着して車の中で仮眠。翌朝6時頃起床して入山の準備をしていると、越前屋さんの悲鳴が朝の静かな美しの森に響き渡る。落ち着いてから事情を聞くと「アイゼン」を忘れてしまったとのこと。「アイゼン」なくして登頂は100%不可能だし、今週は仕事が激務で疲れてきっていたので敗退でもいいやと思っていると、越前屋さんが「丁度チタンのアイゼンがほしかった」とのことで最寄の山道具屋を探して茅野の石井スポーツに行くことになった。無事にアイテムを入手して駐車場を出たのは12時過ぎになってしまった。でも今回は阿弥陀北西稜の反省を踏まえて予備日をとっているので問題ないのだ。出合小屋まではもなか状の雪に悩まされヨレヨレになってやっと到着。権現東稜の尾根末端まで行く予定だったが小屋の状態があまりにも快適だったのとこれ以上疲れた体で重荷を背負って行動したくない気持ちが強く今日はここまでとした。小屋内にテントを張って一杯やっていると夕方に二人パーティーが入ってきた。行き先は我々と同じ権現東稜とのことで「よろしくお願いします」と挨拶を交わした。今日はしんどかったのでシュラフに潜ったらあっというまに熟睡してしまった。

(3/13)
　今日は行程が長いので2時起床、4時出発としたが、めずらしく予定通り出発出来た。二人パーティーも同時刻の出発予定だったがやや遅れておりこちらが先行する。懐電歩行なのでいまいち地形がわからず権現沢左俣のさらに一本左の尾根へ続くトレースに入り込んでしまい30分くらいロスした。その間に後続していた二人パーティーに抜かれ数分遅れであとをついていく形になる。権現東稜末端より左俣に入りゴルジュ帯を抜けると尾根に上がる右上した傾斜の強いトレースが現れこれを登って尾根に乗る。最初は細い尾根が続くが30分ほども登ると尾根は次第に広くなり幕場適地があちこちに現れる。雪は意外と締まっており順調に高度を稼いでいく。またこの日はかなり強い冬型で冷え込んではいたが、東面なので風があたらず快適だ。ひたすら東稜を忠実に突き上げていくと出合小屋から4時間余りでバットレスの基部についてしまった。二人パーティーとは抜きつ抜かれつを繰り返していたが草付の2級程度のところでザイルを出したので先に行かせてもらった。草付を登ると3級のトラバースルートに出てここで我々もザイルを出す。越前屋さんにリードしてもらう。次はカンテを左に回りこんだ広いフェースの直上ルートになるがここが権現バットレスの核心部だ。気合を入れてリードをはじめるがホールドには氷化した雪がべったりつまっており手がかりがない。傾斜は緩いが足のバランスだけで行くにはちょっと怖い。支点も埋まっているのか全然見つからない。と、いうことで僅か数メートル登ったところでピッチを切り越前屋さんに相談すべく上がってきてもらう。バットレスを登る為に再度権現東稜にやってきた越前屋さんとしてはあきらめがつかないようで最初右に行ったり左にいったりして突破口を探していたがやはり難しいようで、左のルンゼに流されるように登りだした。二人パーティーの方は数メートル右の同じフェースでやはり苦戦しているようだ。我々のほうは結局右のバットレスには戻れずそのままルンゼを直上して途中の潅木でピッチを切る。つるべで今度は荻原がリードして核心部の終了点に戻った。もう1P雪稜を登ったところでザイルを解き数分登って稜線にあがる。バットレス基部から3時間余りかかった。権現岳にピストンして記念撮影をしたが、ふと後ろを振り返ると先ほどの二人パーティーがまだ2P目に取り付いていた。無事抜けられるよう祈りながら我々はツルネ東稜へと向かう。
　稜線上は強い冬型の気圧配置の影響で西風が非常に強い。体力を大分奪われながら1時間余でツルネに到着してここからツルネ東稜を一気に下る。3時間以上かかるかと思っていたら1時間半で出合小屋についてしまった。小屋からは重荷を背負うが、前日とはうって変わって雪がしまっており順調に距離を稼ぎ、若干の下りとはいえ前日の半分以下のタイムで下ることが出来た。全体として順調に行程をこなしたが、それでも本日は約14時間(先月の北西稜は16時間)の行動になってしまい、いつもながらこのような山行に付き合ってくれる越前屋さんに感謝する。バットレス完登が出来なかったのが唯一の心残りだが、またレベルを上げて(はたまた雪の付き方が甘い年か時期を狙って?)挑戦したい。