下りは尾根への取り付き地点、鞍部まで戻ります。ここからいよいよ滑走です。乙妻山北東斜面への大滑走です。誰も滑っていない新雪斜面です。山スキーヤー垂涎の斜面です。何しろ高度差1,000mをひたすら滑り下りるのです。全員が腹の底から歓声をあげて滑ります。ヒャーオー、ヒューヒュー。ガオー。ヒューヒュー。思わず笑顔がこぼれます。笑ってしまいます。
高橋(俊)さん、山崎さん、成田(義)さん、斎藤(吉)さん、みな美しいシュプールを描きます。思わず自分が作ったシュプールに見とれてしまいます。俺って、こんなにスキーがうまかったんだ。特にファットスキーの高橋(俊)さん、山崎さん、斎藤(吉)さんたちは、新雪の斜面を波間を飛ぶような浮遊感覚で雪を舞いあげ、まさに滑空しています。たまらない快感でした。
さて、次に来る時の参考のために高度と時間などを報告します。出発は国立駅25日21時、大橋の駐車場着は1時20分頃でした。高速を降りてから道に迷いました。俊介さんは新潟からですが途中高速が通行止めになっていました。朝、大橋で合流です。
5時15分 1,140m 大橋スタートです。16時には戻る計画でした。林道を進みます。緩く登っています。
1,280m 林道は二手に分かれます。右に行くと黒姫山です。左に進みます。
橋を渡り、もうひとつ小さな沢を越えます。1,330m辺りから佐渡山から直接出ている尾根ではなく1,580mの佐渡山鞍部から出ている尾根に取り付きます。いよいよ登りです。尾根は1,560mぐらいまで登ります。途中で左にトラバースしたくなりますが我慢して登ります。1,560m辺りから水平移動の感じで佐渡山の鞍部を目指します。すぐに鞍部に着きました。
7時、1,580m 佐渡山の鞍部に到着です。いいペースで来ています。ここからシールをはずします。佐渡山西面を北に向かいトラバース気味に滑り降りていきました。氷沢川を越え、またシールを付けます。
なんと有り難いことに、大橋を5時にスタートした3人パーティーがいたのです。自称「戸隠の有名人」です。そのパーティーがしっかりとトレースを付けてくれていました。とても楽で、助かりました。氷沢川沿いのルートも先導パーティーの跡を忠実にたどっていきました。ラッキーでした。
8時、1,360m 乙妻山北東斜面入口到着です。最初は北東斜面入口とは思わず、先行パーティーはここから尾根に取り付くのかと思いました。しかし、事前に地図に書いたルート通り、尾根の右斜面の下に、明確に沢が見えてきたので北東斜面に入ったのだと確認できました。
斜面入口の目印になるのは入口直前の崖です。氷沢川に沿って進んで行きますが左岸が崖になり雪庇が出ている危険な場所があります。一人ひとりが間をあけて、安全に通過したことを確認してから進まなければいけません。30、40mの距離ですが注意しなくてはならないところでした。そこを越えるとすぐに北東斜面の入口となります。崖がなくなり平地となるのです。ただ、何もない平地でなく、木が多くあるので斜面入口だと最初はわかりませんでした。さて、ここからいよいよ乙妻山頂上を目指します。頂上まで4時間の予定です。
最初は樹林の間を縫うように進みます。樹林を抜けると真っ白な雪の平原です。遥か彼方に乙妻山が見え隠れします。高度をあげていくと、火打山、焼山、志賀高原の山々が見えてきて、開放的な気持ちにさせてくれます。群青の空に連なる山並みに思わず「すばらしい」という声が出ます。
頂上に近づくと急斜面となりターンをするのに限界状態になりました。先行パーティーのラッセルがあってもギリギリ状態でした。高橋(俊)さん、成田(義)さん、斎藤(吉)さんたちは順調に登り、山崎さんもあとに続きます。箭内は気持ちも体も疲れてはいないのに、両足のモモがツリ往生しました。モモがピーンと張り痛みが走りしばし動けなくなりました。初めての経験でした。急斜面なので直接頂上にはいけません。高妻山と乙妻山の鞍部に出て、稜線沿いに進みます。
11時50分、2,318m頂上です。360度の展望です。感激です。滑りはまた、鞍部まで戻り、そこから滑り込みです。
15時35分、1,140m大橋到着です。また、行きたい山です。戸隠でそばと温泉でした。