出発初日から、人身事故で電車は不通。大急ぎで新幹線に乗り換え、予定時刻に修善寺駅に着くことが出来た。こんな時だけは文明の力に感謝。
バスに乗車のハイカーは多かったが、天城峠で下車したのは我々を含め2パーティのみ。彼らは峠越えをして伊東に向かうとか。彼らを抜きつ抜かれつしながら旧天城峠で別れた。
峠で何故か服部氏にコテージで合流の電話をしようという話になった。電話では、服部氏は乗り気ではないようだったが、コテージの住所を伝えた。
峠で充分休憩後、縦走コースへ突入。16時までに牧場に着かなければソフトクリームにはありつけない。6時間は歩く長コース、何故かお互い早足になる。国立公園内のコース手入れは非常に良く、トラバースルートもしっかりしていてアップダウンは少ない。二本杉峠の東屋で単独の若い？男性2人とすれ違う。何故か暗い。『天城のイメージかな？』と2人で勝手に言いながら先を急ぐ。先週降った雪が北斜面を覆っていたが、伊豆固有種の『マメザクラ』が南面を覆っている。伊豆の桜には多くの固有種があることを初めて知った。滑沢峠～猫越岳がこのルートのメインのようだ。海からの風が強いので高さはないが、樹齢百年以上はあると思われるブナ林が続き、圧巻だ。何度も急ぐ足を止め、木を眺める。東北のブナも素晴らしいが、これはこれでまた素晴らしい。
「秋にはキノコが一杯取れるね」と、欲張りな話も出るが、歩いていて実に楽しい。山歩きを続けている醍醐味を感じる。
猫越岳で妙に明るい単独の若者とすれ違う。二本杉峠辺りでビバーグすると話していた。決してイケメンではないけれど、心を楽しくさせるあんなタイプ、山に合うねと2人の評価。
通り過ぎてしまいそうな猫越岳山頂の池を散策。火口跡とか。モリアオガエル産卵地というが暗い方の神秘さを感じた。
暫く行くと仁科峠も近づき、右側には笠雲が掛かった大きな富士山。ソフトクリームまであと僅か、残り時間に不安があったので、峠手前の展望台から予約の電話を入れた。話を聞いていたのか近くのカラスが笑っているように思えた。
仁科峠～牧場までの舗装道路は疲れた足には地獄のように辛かった。牧場の柵には子牛が20頭ほど横一列になり我々に興味を示している。人なつっこいのはわかるが、どちらが柵内なのか不安になる。15:50ゴール。まずはソフトクリームを注文。お店のおばちゃんもノンビリしていて、ソフトクリームがお金より先に出てくる。全て食べ終わり、幸せな気分で宿泊手続きをした。
コテージは4棟のみ。高台にあり眼下に駿河湾。夕日が名所のようだ。食料・洗面道具以外は全て整っており、バーベキューの設備もあった。入浴後、のんびりしていると『何と！服部氏、来訪！』
古き山仲間はいいもんだね。罵り合いながらも訪ねて来てくれる。ポテトチップを持って。
話は尽きなかったが、明日の予定もあるので、10時頃に横になった。
