山行日　2019年7月26日～28日
メンバー　(L)千葉(快)、金子、野畑、千葉(朋)

　3日間で憧れの北アの赤木沢を歩いて来た。行程は、1日目はアプローチで折立～薬師沢峠キャンプ場。2日目に、テントをデポして薬師沢小屋経由で黒部川に入り、出合いから赤木沢を遡行。北ノ俣岳まで詰め太郎山経由で薬師峠キャンプ場に戻る。3日目は下山となる。
　この企画は昨年実施の予定だったが雨天で中止になった。今年も前線が上がってきて危うかったが富山は持ちそうだということで実施となった。

【7月26日】
　今回は帰路が長いので毎日アルペン号(バス)に乗った。木曜日の夜に新宿を出て、朝7時半に折立に到着。あまり熟睡できず眠い目を擦りバスから降りる。車が既にたくさん停まっている。パッキングをして8時に出発。
　今日は太郎平小屋までだから気楽だ。ビールを楽しみに歩く。登山道は梅雨明けを心待ちにしていた登山客で一杯。数珠繋ぎにゆっくり登る。あまりに暇なので、みんなでしりとりをした。登りは快晴に「り」詰めにされた記憶しかない。そういえば途中に休憩したベンチから見えた北アの景色は雄大だった。ニッコウキスゲが咲き乱れていた。
　太郎平小屋に着いて静かでいい場所にテントを張った。乾杯をして、つまみをつついて、みんな明日を楽しみにまったりしていたが、今回の私のもうひとつの目的は黒部で釣りをすることだった。昨年、黒部川を渡った時に魚と目があったが竿を持っていなくて眺めるしかなかった。黒部に育ったイワナに会ってみたかった。明日は午前中しか天気が持たない予報だから今日行くしかなかった。食事を野畑さんが作ってくれるという言葉に甘えて、登山道を黒部の方へ下り途中から沢に降りた。釣り人が一人上がって来て「今日はしぶかったよー」と言う。水はそんなに冷たくなくて竿を振るだけの川幅もある。上も下もやったが全然出なくて次で諦めようと思ったところで、出た。かかった。一発で釣り上げた。可愛らしいオレンジの斑点とクマノミみたいにヒレに白い縁取りがある綺麗なイワナだ。絞める時間がなかったので水を入れたビニル袋に魚を入れて急いでテン場に戻ると、みんな出来上がりつつ待っていてくれた。イワナはソテーにし、みんなでご飯を食べた。

【7月27日】
　今日は午後から雨予報なので早くに入渓しようということで、2時に起き太郎平小屋を3時半に出た。薬師沢小屋に着いて小屋で水量などの情報を得、5時に出発。水は平準らしい。明るくなったエメラルドの流れを見て思わず歓声が上がる。去年楽しかった縦走の記憶が蘇る。水が冷たい。後ろに我々以外に1パーティーしかいないようだ。黒部は左岸を行き、時々阻まれてスクラムっぽいことをしながら右岸に渡渉する。途中、竿を振らせてもらうが全く反応なし。朝だからかなぁ？
　7時半に赤木沢の出合に到着。日が差して水も緑も空も、世界全体がキラキラしている。
　赤木沢は黒部川の支流のなかでも最も一般的で美しい沢と言われている。その特徴はナメや小滝、開けて美しい大滝、その周辺の樹林帯と相まって素晴らしい景色を作り出しているところ。危険な個所もなく始終楽しく歩いた。

　10mのナメ滝を2つ越えるとウマ沢に出合う。その後の10m滝は左岸のお花畑の中の巻道を辿る。巻道からもエメラルドの沢が見渡せて360度の美しさに溜息をつきながら歩く。
　反対岸の藪のなかを漕いで来たパーティーと川底で合流した。彼らとは何回か擦れ違った。
　2段大滝35mは圧巻だ。北アの雄大さを実感する。左岸の急斜面を巻く。

　途中のお釜で竿を出し一匹釣り上げた。美しいイワナだった。今回はリリースした。
　大滝の後は沢が小さくなり、二俣を右に上がり稜線を目指す。お花が咲き乱れ最後まで綺麗な景観のなかを歩く。

　沢がなくなった後は、ハイマツや雪渓をやり過ごしながらまっすぐ稜線に上がった。詰めの辺りから小雨がポツポツと降り始めていて、野畑さんと私はビール確保に向けて一足先にテン場へ急ぐこととした。太郎平小屋に着いた頃土砂降りになり、小屋の屋根の下で飲んでいるところへずぶ濡れの二人が到着した。午前中の天国のような景色が嘘のようだった。

【7月28日】
　お昼のバスに向けて折立までゆっくり下山し、今回の遡行は無事終了した。バスは日本海側を通って帰京した。