トップページ > 岩つばめ一覧 > 岩つばめ368号目次

アイスクライミング・松木沢流域(夏小屋沢、横向沢、黒沢)
小芝 泰規

山行日 2022年2月26日~27日
メンバー (L)小芝、石毛

 今回のアイス山行は、2月の尾白川下流域アイスのシリーズ企画だ。まずは、アイスクライミングをやってみたい!という会員のために、ゲレンデでアイスの"いろは"をしっかりと指導する。その上で、アルパインアイスに挑戦し、その楽しさを感じてもらう!という体で、しばらくご無沙汰のアイスクライミングをおさらいしようというものだ。
 初心者向きで短めの沢が良いということで、今回の沢に決定した。アイス初心者で期待の若手、さきちゃんが前回企画に続き参加予定だったが直前になって休日出勤を命じられたとのこと。残念だが、上司に掛け合っても追い返されるだけなので今回は諦める。代わりに今シーズンにアルパインアイスのリードを目標に掲げていたがっちゃんが参加してくれたので、私のモチベーションは上がる。
 2週間ほど前に関東でも大雪警報が出たほどなので、足尾もかなり降ったかもしれない。アイスの記録を探すが直近の情報が見つからず、行ってみなはれの三峰スピリッツに従い東京を発った。
 出発の起点となる銅(あかがね)親水公園のトイレは冬は閉鎖されているので、その500mほど手前の駐車場で前泊した。ここのトイレも冬季閉鎖になっていたが、工事中の仮設トイレが解放されていたのでここをありがたく使わせていただいた。

【2月26日】
 駐車場を出発し、林道をてくてく歩くこと1時間半。横向沢の対岸辺りにまっ平らに整備された幕場適地があったので、ここを今回の宿に決める。幕場までは、荒涼とした景色を見ながら歩く。ほとんど高低差が無い林道で、鹿が異常に多い。この辺りは植林を進めているそうだが、これでは植えた傍から食べられてしましそうだ。
 幕場には30cmほど雪が積もっていた。手早くテントを設営してから今日の目的、夏小屋沢に向かった。ポツリポツリと付いたトレースを辿ると、濡れずに渡渉して20分ほどで出合に到着した。

フリーでも良いかも。足慣らしにちょうど良い。F3 12m 見た目よりは難しく感じるかも

 F1は半分が埋まっていたが、その他の滝はコンディションが良かった。この沢はどの滝も高さが無いので恐さを感じることなくトライできる。リードが出来るようになったメンバーとツルベで登るのにはうってつけの沢だ。
 残置支点を使って出合まで懸垂下降したが、まだ時間が早かったので隣の横向沢に行ってみることにした。ツボ足で15分ほど松木沢を下ると沢の右手に岩に隠れるように出来た30mほどの立派な滝が現れた。この滝は松木沢の下流側に張った我々のテントからは見えなかったが、ここから対岸のテントは目と鼻の先に見える。好みのラインをそれぞれリードして適当に疲れたころに幕場に戻った。

横向沢 F1 30m レベルに合ったライン取りが可能

 夜には初アルパインリードの祝杯をあげる事ができ、楽しい宴会になった。〆には韓国の人気料理というプデチゲをご馳走になり、早めに就寝した。登山道脇の斜面から度々大きな落石音が聞こえてきた。

【2月27日】
 この日は黒沢に向かった。ここも幕場からは20分ほどの距離だが、傾斜の緩いF1、2が雪で埋まっていたので、トレースを辿ってツボ足で登った。程なくして眼前にのっぺりとした巨大なガリガリ君のようなF3が現れる。

F3 40m 幅広で堂々としている

 今日も晴天無風。ジャケットのチャックを半分開けて登攀の準備を始めた。北向きのためか、気温の割に氷の状態はとても良かった。どこでも打ち込めるし、しっかり効く。抜けも良くて思い切り楽しめた。
 その上部はさらにのっぺりとした、ぬりかべのようなF4 2段 40mが現れる。これは2段繋げるなら60mロープが必要。1段目で切るなら、滝の左側に支点がある。懸垂下降は右側の支点を使い、2Pであっという間にF3下まで降りた。まだ時間が早かったので、がっちゃんがF3のリードを完成させ、充実した気分で帰路についた。

〈コースタイム〉
【2月26日】 銅(あかがね)親水公園駐車場(7:20) → 幕場(9:00~10:00) → 夏小屋沢出合(10:20~10:40) → F5上部(12:30) → 夏小屋沢出合(13:30~14:00) → 横向沢出合(14:20~15:20) → 幕場(15:40)
【2月27日】 幕場(7:10) → 黒沢F3下部(7:40~8:00) → F4上部(9:20) → 黒沢F3下部(9:50~10:30) → 幕場(10:45~11:15) → 銅(あかがね)親水公園駐車場(12:45)

トップページ > 岩つばめ一覧 > 岩つばめ368号目次